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スチームパンク漫画のおすすめ10作|TRPG発の1992年から、2020年代の新作まで

執筆者の写真: 日本スチームパンク協会
日本スチームパンク協会
2 時間前
読了時間: 13分
スチームパンク対談シリーズ「喫茶蒸談(STEAMOGRAPHY)」のシリーズ共通カード。第86回喫茶蒸談 今回はスチームパンクの漫画について

喫茶蒸談へようこそ


小説の回では、スチームパンクが途切れず書き継がれてきたことを辿った。では漫画はどうだろう。調べてみると、日本のスチームパンク漫画は1990年代の初めから一度も途切れていない。TRPGから生まれた最初期の一作、産業革命のロンドンを駆ける少年の物語、機械の腕で戦う拳闘士、飛行船で龍を追う人々、そして電気を手放した未来の世界。日本蒸奇博覧会とゆかりのある作家の作品も交えながら、年代順に10作を紹介する。



■この対談に登場するふたり


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MaRy(マリィ):  日本スチームパンク協会 代表理事。感覚派で、スチームパンクの"ワクワクするところ"を見つけ出すのが得意。気になったことはどんどん質問するスタイルで、対談の聞き手としても案内役としても活躍中。


ツダイサオの発言アイコン

ツダイサオ:日本スチームパンク協会 理事。物事を論理的に捉えるタイプで、歴史や文化、技術の観点からスチームパンクを語るのが得意。蒸談ではMaRyの投げかけにじっくり応える"解説役"として登場することが多い。


スチームパンクの漫画って、実はずっと描かれてる

黒い台の上に並べた日本語のスチームパンク漫画単行本の表紙。『ギア・アンティーク』『STEAM DETECTIVES』などの文字と、機械や少女の絵が見える。

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前に小説の回をやったでしょ。漫画はどうなの? スチームパンクの漫画って、あんまり聞かない気もするけど。


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そう思われがちなんだけど、実はかなりあるんだよ。しかも1990年代の初めから、今まで一度も途切れてない。


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え、そんなに前から?


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うん。今日は年代順に追っていこうか。そうすると、日本の漫画がスチームパンクをどう受け止めて、どう変えてきたかが見えてくるから。


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協会とつながりのある作家さんの作品もあるよね。


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そう、それも今日ちゃんと紹介したい。



日本のスチームパンク漫画は1990年代初めから現在まで、途切れることなく描かれ続けている。


始まりはTRPGだった『ギア・アンティーク』


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最初に挙げたいのが『ギア・アンティーク』。


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聞いたことないかも。


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もとはTRPG、テーブルトークRPGなんだ。1991年にツクダホビーから出たゲームで、デザイナーは伏見健二さん。


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TRPGって、サイコロを振って、会話で物語を進めていく遊びだよね。


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そう。その世界観を、イラストを担当していた外薗昌也さんが漫画にして、1992年に単行本が出てる。おそらく、日本で最初期に描かれたスチームパンク漫画のひとつだと思う。


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1992年って、すごく早くない?


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早いよ。「スチームパンク」という言葉がアメリカで生まれたのが1987年だから、そこから5年しか経ってない。


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どんな世界なの?


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産業革命のころのヨーロッパをモチーフにした異世界で、蒸気機関や飛行船、戦車が日常にあふれてる。そこに魔術やモンスターもいる。面白いのが、主人公たちが勇者や冒険者じゃなくて、普通の職業の人たちが大事件に巻き込まれるのが基本になってるところ。


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職人さんとか、町の人とか?


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そういう感じ。剣と魔法のファンタジーが全盛だった時代に、蒸気と歯車の世界で普通の人を主役にしてた。今読むと、かなり先を行ってたと思うよ。



『ギア・アンティーク』は1991年にツクダホビーから発売されたTRPG(デザイン:伏見健二)で、1992年に外薗昌也による漫画版が刊行された。産業革命期のヨーロッパをモチーフに、蒸気機関・飛行船・戦車と魔術が共存する世界を描き、日本で最初期のスチームパンク漫画のひとつとされる。


90年代から2000年代へ:蒸気探偵団と、機械鎧の兄弟


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90年代だと、やっぱり『快傑蒸気探偵団』だよね。


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麻宮騎亜先生の作品だね。1994年に月刊少年ジャンプで始まって、のちにウルトラジャンプに移った。1998年にはテレビアニメにもなってる。


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前に喫茶蒸談でも一回まるごと話したよね。


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うん。蒸気の都市を舞台にした少年探偵ものって、当時としてはかなり思い切った設定だった。詳しくはその回を読んでもらうとして、ここでは「90年代の真ん中に、少年誌でスチームパンクが走ってた」ことだけ押さえておきたい。


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で、2000年代に入ると『鋼の錬金術師』。


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2001年から2010年まで月刊少年ガンガンで連載された作品だね。主人公が手足を機械鎧(オートメイル)にしてる兄弟の話。


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ハガレンって、日本だと「錬金術の漫画」っていうイメージが強いけど。


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海外だと、スチームパンク作品としてよく名前が挙がるんだよ。機械鎧、蒸気機関車、産業革命のころのヨーロッパを思わせる街並み。言われてみると、要素は揃ってるでしょ。


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揃ってる。


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それから、2007年には藤田和日郎先生の『黒博物館 スプリンガルド』も出てる。ヴィクトリア朝のロンドンを舞台に、バネ足ジャックの事件を描いた作品。


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『からくりサーカス』の藤田先生だ。



1994年には麻宮騎亜『快傑蒸気探偵団』が月刊少年ジャンプで始まり、1998年にアニメ化された。2001年から2010年に連載された荒川弘『鋼の錬金術師』は、機械鎧や産業革命期を思わせる世界観から、海外ではスチームパンク作品として挙げられることが多い。2007年には藤田和日郎がヴィクトリア朝ロンドンを舞台にした『黒博物館 スプリンガルド』を発表している。


産業革命のロンドンを駆ける『アトランティド』


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で、次は山地ひでのり先生の『アトランティド』!


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(笑)待ってたね。2014年から少年サンデーSで連載されて、単行本は全3巻。


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山地先生、阪神百貨店でやった初期の日本蒸奇博覧会に出展してくれたんだよね。


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そう、協会としてもありがたいご縁だった。


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どんなお話か、改めて紹介してよ。


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舞台は産業革命の真っ最中のロンドン。スラムで暮らす悪ガキのサリーが、ひょんなことから正体不明の指輪をはめてしまって、そこから文明を超えた不思議な機械が現れる騒動に巻き込まれていく。


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スラムの悪ガキが主人公なのがいいよね。


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それと、僕が面白いと思ったのは、1巻の紹介文が「スチームパンクとは19世紀の蒸気機関文明のレトロテクノロジーな世界観」っていう説明から始まってるところ。


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あ、言葉の説明から入ってるんだ。


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2014年の少年誌の読者には、まだ説明が必要な言葉だったんだと思う。逆に言うと、それでも少年誌で真正面からスチームパンクをやったっていうことなんだよね。


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そう聞くと、ちょっと胸が熱くなるね。



山地ひでのり『アトランティド』は2014年から少年サンデーSで連載された作品で、単行本は全3巻。産業革命期のロンドンを舞台に、スラムの少年サリーが正体不明の指輪をきっかけに不思議な機械の騒動に巻き込まれる。作者の山地ひでのりは、阪神百貨店で開催された初期の日本蒸奇博覧会に出展している。


機械の腕と、空飛ぶ船:『LEVIUS』と『空挺ドラゴンズ』


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2010年代だと、ほかには?


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中田春彌さんの『LEVIUS』。2013年に月刊IKKIで始まって、続編の『Levius/est』がウルトラジャンプで2021年まで続いた。


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機械の体で殴り合うやつだ。


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そう。人体と機械を融合させて戦う「機関拳闘」っていう格闘技がある世界。新生暦19世紀の、戦争が終わったあとの帝都が舞台。主人公のレビウスは右腕が機械なんだけど、それは戦うためじゃなくて、医療用の腕なんだよね。


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あ、前のバス X マキナの回で話した、機械の腕は強さと代償を同時に見せるっていう……。


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まさにそれ。戦争で何かを失った少年の腕だから、見た瞬間に「この子に何があったんだろう」って思わせる。2019年にはNetflixでアニメにもなってる。


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もう一作、空のほうは?


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桑原太矩さんの『空挺ドラゴンズ』。2016年にgood!アフタヌーンで始まった作品。飛行船に乗って龍を捕まえて、解体して、食べる人たちの話。


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食べちゃうんだ(笑)。


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(笑)龍の料理がすごくおいしそうに描かれてるんだよ。でも僕がいいなと思うのは、捕龍船の暮らしの描き方でね。空の上で、何か月も、決まった港に帰らずに龍を追いかけていく。


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それ、飛行船の回で話した「船は地図の外へ出ていく乗り物」だ。


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そう。こっちは2020年にNetflixでアニメになってる。



中田春彌『LEVIUS』(2013年〜、続編『Levius/est』は2021年まで)は、人体と機械を融合させて戦う「機関拳闘」の世界を描き、2019年にNetflixでアニメ化された。桑原太矩『空挺ドラゴンズ』(2016年〜)は、飛行船に乗って龍を捕り、解体し、食べる「龍捕り」たちの物語で、2020年にNetflixでアニメ化されている。


電気を手放した未来『エリオと電気人形』


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最近の作品だと、絶対に外せないのが『エリオと電気人形』。


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漫画を描いているのは黒イ森先生。日本蒸奇博覧会のメインビジュアルを手がけてくれている作家さんだね。


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博覧会のポスターの絵を見て、この漫画にたどり着いた人もいるんじゃないかな。


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原作は島崎無印さんで、となりのヤングジャンプで連載されて、2026年3月に全5巻で完結した。


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この作品、設定がすごく今っぽいんだよね。


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100年前に人類とAIの戦争が起きて、人類が電気を手放すことで決着した世界。そこで、最後の電気人形のアンジュと、電気人形に育てられた人間のエリオが旅をする。


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電気を捨てたから、蒸気の時代に戻ってるってこと?


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そういうこと。ここがすごく面白いところでね。今までのスチームパンクは、「もし蒸気の時代が続いていたら」っていう過去の分かれ道を描くことが多かった。


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うん。


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でも『エリオと電気人形』は、未来のほうから蒸気の世界に戻ってくる。 AIがこれだけ話題になっている今だからこそ、「電気を手放したら」っていう問いが、ただの空想じゃなくなってるんだよね。


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スチームパンクが、今の時代の問いに答えてる感じがする。


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うん。過去の話だと思われがちなジャンルが、一番新しい問いを描いてる。それが2020年代のスチームパンク漫画なんだと思う。



『エリオと電気人形』(原作:島崎無印、漫画:黒イ森)は、となりのヤングジャンプで連載され、2026年3月に全5巻で完結した。AIとの戦争に人類が電気を手放すことで決着をつけた未来を舞台に、最後の電気人形アンジュと人間の少年エリオの旅を描く。漫画を担当する黒イ森は、日本蒸奇博覧会のメインビジュアルを手がけている


いまウェブで読める:『空賊ハックと蒸気の姫』と『THE MARSHAL KING』


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最近始まった作品もあるよね。


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ひとつは井上智徳さんの『空賊ハックと蒸気の姫』。2024年4月にマグコミで始まった作品。


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『COPPELION』の井上先生だ。


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そう。産業革命で「空の時代」が始まって、人々が地上から空へ暮らしの場を移していく世界。空賊たちが徒党を組んで空を荒らす中で、群れるのが嫌いな一匹狼の空賊ハックが、お宝とロマンを求めて飛び回る。


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え、黒いのに?


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スペイサイドのピートを効かせたモルトと、ピートを使ってないウイスキーを合わせて、スモークの出し方を組み直してるんだって。甘いりんごや洋梨、カシスジャムみたいな果実味に、塩キャラメルやバニラ、黒糖みたいな甘さ。スモークは最後にやわらかく香る程度。


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空賊! 飛行船の回からずっと空の話が続いてる(笑)。


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スチームパンクは、やっぱり空が好きなんだよね。


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もうひとつは、前の回でも話した……。


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Boichi先生の『THE MARSHAL KING』。2025年2月に少年ジャンプ+で始まった、公式に「スチーム・パンク×ウェスタン」とうたう保安官の物語だね。


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『Dr.STONE』の作画の人だよね。


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そう。バス X マキナの回でも話したけど、ソウル出身で、日本で描いてる漫画家なんだ。


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韓国出身の人が日本で描く、アメリカの西部劇か。


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90年代のTRPG発の一作から始まって、2020年代にはウェブで読める連載が並んでる。入口がどんどん広がってるのが、今のスチームパンク漫画のいいところだと思う。



井上智徳『空賊ハックと蒸気の姫』は2024年4月にマグコミで始まった作品で、産業革命によって「空の時代」を迎えた世界を一匹狼の空賊が駆ける。Boichi『THE MARSHAL KING』は2025年2月に少年ジャンプ+で始まった、公式に「スチーム・パンク×ウェスタン」をうたう保安官の物語である。


スチームパンク漫画 年代順一覧

開始年

作品名

作者

掲載誌・媒体

ひとこと

1992

ギア・アンティーク

外薗昌也(原作TRPG:伏見健二)

単行本(JICC出版局)

1991年発売のTRPGが原作。日本で最初期のスチームパンク漫画のひとつ

1994

快傑蒸気探偵団

麻宮騎亜

月刊少年ジャンプ→ウルトラジャンプ

蒸気の都市の少年探偵。1998年アニメ化

2001

鋼の錬金術師

荒川弘

月刊少年ガンガン

機械鎧の兄弟。海外でスチームパンクとしてよく挙がる

2007

黒博物館 スプリンガルド

藤田和日郎

モーニング

ヴィクトリア朝ロンドンのバネ足ジャック

2013

LEVIUS / Levius/est

中田春彌

月刊IKKI→ウルトラジャンプ

機械と人体を融合した「機関拳闘」。2019年Netflixアニメ化

2014

アトランティド

山地ひでのり

少年サンデーS

産業革命期ロンドンのスラムの少年。全3巻

2016

空挺ドラゴンズ

桑原太矩

good!アフタヌーン

飛行船で龍を捕り、食べる。2020年Netflixアニメ化

2023

エリオと電気人形

原作:島崎無印/漫画:黒イ森

となりのヤングジャンプ

電気を手放した未来。2026年完結、全5巻

2024

空賊ハックと蒸気の姫

井上智徳

マグコミ

空の時代の一匹狼の空賊

2025

THE MARSHAL KING

Boichi

少年ジャンプ+

公式「スチーム・パンク×ウェスタン」の保安官もの

※開始年は連載開始または単行本刊行の年。『ギア・アンティーク』は単行本刊行年、『エリオと電気人形』は単行本1巻の刊行年。


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TRPGから始まって、ロンドンの悪ガキ、機械の腕の拳闘士、龍を食べる飛行船乗り、電気を捨てた未来……。並べてみると、ばらばらなのに、全部スチームパンクなんだね。


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そこが面白いところだよね。舞台も時代も、主人公の年齢もばらばら。でも、どの作品にも「機械が物語の真ん中にいる」っていう共通点がある。


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協会とつながってる先生が何人もいるのも、うれしかったな。


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山地先生も黒イ森さんも、博覧会という場所で読者と直接つながってくれた人たちだからね。漫画のページの中と、会場の通路が、どこかでつながってる感じがする。


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博覧会に来たら、その漫画の世界にちょっと入れるってことだ。


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そうなるといいね。ちなみに海外のスチームパンクコミックもかなり面白いのがあるから、それはまた別の回で。


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小説と同じで、海外編もやるんだ。


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うん。まずは今日の10作から、気になったものを一冊手に取ってみてほしいな。ウェブで発表された作品なら、公式サイトからすぐに読み始められるから。


よくある質問


Q.  おすすめのスチームパンク漫画は?


A.年代順に、『ギア・アンティーク』(1992年)、『快傑蒸気探偵団』(1994年〜)、『鋼の錬金術師』(2001〜2010年)、『黒博物館 スプリンガルド』(2007年)、『LEVIUS』(2013年〜)、『アトランティド』(2014年〜)、『空挺ドラゴンズ』(2016年〜)、『エリオと電気人形』(2023〜2026年)、『空賊ハックと蒸気の姫』(2024年〜)、『THE MARSHAL KING』(2025年〜)などがあります。


Q. 日本で最初期のスチームパンク漫画は?


A.1991年にツクダホビーから発売されたTRPG『ギア・アンティーク』(デザイン:伏見健二)を原作に、外薗昌也が描いた漫画版(1992年刊行)が、日本で最初期のスチームパンク漫画のひとつとされます。「スチームパンク」という言葉がアメリカで生まれた1987年から、わずか5年後の作品です。


Q.  ウェブで読めるスチームパンク漫画は?


A.マグコミの『空賊ハックと蒸気の姫』(井上智徳)、少年ジャンプ+の『THE MARSHAL KING』(Boichi)、となりのヤングジャンプの『エリオと電気人形』(原作:島崎無印、漫画:黒イ森)は、いずれもウェブ媒体で発表された作品です。各公式サイトで一部を無料で読める場合があります。


Q. アニメ化されたスチームパンク漫画は?


A.『快傑蒸気探偵団』(1998年テレビアニメ)、『鋼の錬金術師』、『LEVIUS』(2019年Netflix)、『空挺ドラゴンズ』(2020年Netflix)などがアニメ化されています。


小説のスチームパンクも気になった人へ


帝都物語から蒸気と錬金まで。日本の作家たちが描いてきた、もうひとつの蒸気の歴史。



『快傑蒸気探偵団』をもっと知りたい人へ


蒸気都市に生まれた、少年探偵の夢。90年代の名作を、喫茶蒸談で一回まるごと語りました。



スチームパンクそのものが気になった人へ


蒸気機関が発展し続けた“もうひとつの歴史”から生まれた世界観。定義から楽しみ方まで、まずは入口から。



スチームパンクの世界を、日々更新中。


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一般社団法人スチームパンク協会理事ツダイサオのプロフィール画像

文・構成:ツダイサオ(日本スチームパンク協会 理事)


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