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【第13回】普段着スチームパンクのススメ

  • 執筆者の写真: 日本スチームパンク協会
    日本スチームパンク協会
  • 5月14日
  • 読了時間: 8分

更新日:5 日前

喫茶蒸談シリーズのロゴ画像。第13回「普段着スチームパンクのススメ」の扉イラスト。

喫茶『蒸談』へようこそ


ここは蒸気と革、そして日常がすこしだけ特別になる場所

真鍮のきらめき、ツイードのぬくもり 革がなじむ重みふだんの服にも、物語をまとうことはできる

今日は、スチームパンクを日常に取り入れる工夫の話。 ひとつの小物から始まる、小さな冒険へ──


ゴーグルやトップハット、レザーコートなどを身にまとった男女が登場するクラシックなスチームパンクファッションのコラージュ画像

■この対談に登場するふたり

MaRyの発言アイコン

MaRy(マリィ):日本スチームパンク協会 代表理事。感覚派で、スチームパンクの“ワクワクするところ”を見つけ出すのが得意。気になったことはどんどん質問するスタイルで、対談の聞き手としても案内役としても活躍中。


ツダイサオの発言アイコン

ツダイサオ:日本スチームパンク協会 理事。物事を論理的に捉えるタイプで、歴史や文化、技術の観点からスチームパンクを語るのが得意。蒸談ではMaRyの投げかけにじっくり応える“解説役”として登場することが多い。



スチームパンクファッション、普段着に取り入れるには?

スチームパンク風ファッションを現代風にアレンジしたカジュアルコーディネート
画像引用:SteampunkFashionGuide
MaRyの発言アイコン

スチームパンクのファッションって本当にかっこいいけど、読者の中には「普段着には取り入れにくそう…」って思ってる人も多いみたいなんだよね。


ツダイサオの発言アイコン

確かに、フルコーデで決めるとなると、ゴーグルやコルセットはハードルが高いよね。でも、スチームパンクは細かなディテールが魅力のスタイルだから、小さな要素を少しずつ取り入れるだけでも雰囲気を出せるよ。


MaRyの発言アイコン

そうそう。いきなり全身スチームパンク!ってなると難しいけど、ちょっとしたアイテムなら気軽に取り入れられそう。どこから始めるのがいいかな?


ツダイサオの発言アイコン

おすすめは真鍮色のアクセサリーとか、懐中時計みたいな小物を足していくことかな。ヴィンテージ風のシャツやクラシックなブーツを合わせるだけでも、ぐっとスチームパンクらしい雰囲気になる。


真鍮フレームとレザーバンドで作られたクラシックなスチームパンクゴーグルのディテール
画像引用:Steampunk Goggles
MaRyの発言アイコン

レザーのアイテムも取り入れやすいよね。スチームパンクの世界ではレザーコートやブーツがよく登場するけど、普段使いならシンプルなレザーのバッグやベルトだけでもすごくいい感じになりそう。


ツダイサオの発言アイコン

そうだね。アンティーク調のボタンがついたジャケットとか、ちょっとレトロなシャツを選ぶだけでも、それらしい雰囲気になるよ。



ダークアカデミアとの親和性(おさらい)

MaRyの発言アイコン

そういえば前にも話したけど、スチームパンクとダークアカデミアってファッション的に相性がいいよね?


ツダイサオの発言アイコン

うん、おさらいすると「知的クラシックさ」が共通点だよね。ダークアカデミアはブレザーやツイード、チェック柄のスカートなんかが特徴だけど、これってスチームパンクのヴィクトリアンな要素とすごく親和性がある。


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スチームパンクはレザーや金属のイメージが強いけど、ダークアカデミアのツイードやウールと組み合わせると、クラシックで深みのある雰囲気になって素敵だよね。



ツダイサオの発言アイコン

そうそう。たとえばツイードのジャケットに真鍮の懐中時計を合わせるだけでも、スチームパンクらしい雰囲気になるよね。


夏でもスチームパンクを楽しむには?

MaRyの発言アイコン

ところで、スチームパンクファッションって、コートやジャケットが定番だけど、夏はどうする? 暑すぎて着られないよね?


ツダイサオの発言アイコン

そこはスチームパンクの悩みどころだよね。でも、暑い季節でも工夫すればちゃんと世界観を楽しめるんだ。


MaRyの発言アイコン

たとえば?



ツダイサオの発言アイコン

夏だったら、たとえばスタンドカラーのシャツみたいにアンティークを感じさせるデザインを選んで、リネンのベストを羽織るだけでも、ぐっと雰囲気が出るよ。 そこにベルトポーチをひとつかふたつ、もっとたくさんでもいいけど、好きなだけ足してみるとさらにいい。


ツダイサオの発言アイコン

ベルトが重なったり、ポーチのバックルが複数見えたりするだけで、「機能が表に出る」感じが強まって、たとえハーフパンツでもしっかりスチームパンクっぽくなるんだ。それに、シャツにレザーのサスペンダーを足すだけでもぐっとクラシックな雰囲気になるよ。金具や留め具が“機構の名残”みたいに見えて、見せる装備としても面白いアイテムなんだ。


MaRyの発言アイコン

いいね!がっちり着込まなくても、ちゃんと世界観をまとえるんだね。



ツダイサオの発言アイコン

そうそう。それに帽子も工夫できる。たとえば麦わら素材のボーラーハットとか、夏向けの軽い素材を使ったクラシックな形の帽子を合わせると、さらに雰囲気がまとまる。 帽子についてはまた別の回でしっかり話したいけど、季節に合わせた軽やかなクラシック感をプラスするっていうのも、スチームパンクの楽しみ方のひとつなんだ。



街でスチームパンクな人を見かけたら?

MaRyの発言アイコン

そういえばさ、街でスチームパンクな雰囲気の人を見かけたら、どう感じる?


ツダイサオの発言アイコン

僕ならすごく嬉しくなるね。「おっ、いいな」って。どんな本読んでるのかなとか、どんな音楽が好きなのかなって、自然と想像しちゃう。



MaRyの発言アイコン

わかる。カフェで隣の席に真鍮の懐中時計を持ってる人がいたら、それだけでワクワクする!


ツダイサオの発言アイコン

そうそう。小さなアイテムひとつでも、世界観をまとってる人を見ると、こっちも楽しくなるよね。


MaRyの発言アイコン

うん、スチームパンクのファッションって、「誰かと世界観を共有できるかもしれない」っていうワクワクがあるのがいいな。

ツダイサオの発言アイコン

そう。普段の服装に少しでもスチームパンクを取り入れることで、きっと世界がちょっとだけ広がると思う。


結局、普段着に取り入れるには?

MaRyの発言アイコン

じゃあ、読者の皆さんにおすすめするとしたら、まずどこから始めるのがいいかな?


ツダイサオの発言アイコン

一番手軽なのは、小物や素材選びからだね。 たとえば、真鍮色の懐中時計やアクセサリーを取り入れるだけでも雰囲気がぐっと深まるし、シンプルなシャツでも、ヴィンテージ感のあるデザインを選ぶだけでスチームパンクらしくなる。



MaRyの発言アイコン

バッグや靴も、レザー素材を選ぶだけでそれっぽくなるよね。


ツダイサオの発言アイコン

そうそう。レザーの質感は、さりげなく存在感を出してくれる。 あとはツイードやウールみたいなクラシックな素材を選ぶのもいいし、夏ならスタンドカラーシャツにリネンベスト、ベルトポーチをいくつか足して、軽やかなカンカン帽を合わせるのもあり。 季節やスタイルに関係なく、「機能が見える」工夫をすれば、自然とスチームパンクらしさが生まれるんだよ。


MaRyの発言アイコン

なるほどね!いきなり全部じゃなくて、ちょっとしたディテールから入ればいいってことだね。


ツダイサオの発言アイコン

うん。少しずつ自分らしいスチームパンクを楽しんでもらえたら嬉しいな。



コラム:「機能が見える」って、どういうこと?


スチームパンクでよく語られる「機能が見える」という感覚。 これはファッションにも応用が利いて、実際に動く必要はなくても、“動きそうな雰囲気”がある装備がコーディネートに存在しているということを指します。

たとえば、ベルトが二重になっていたり、バックルが無駄に多かったり。 ポケットがやたらと細かく分かれていたり、ボタンが装飾を兼ねていたり。 それは「便利そう」だからというより、“物語が詰まっていそうな構造”としての魅力を持っている。


スチームパンクにおける“おしゃれ”は、見た目の面白さそのものを楽しむと同時に、 「これは何のためについているんだろう?」と、想像の余白を与える仕掛けでもある。


だからこそ、ハーフパンツにベルトポーチを足すだけで世界観が立ち上がるし、 サスペンダーの金具が“機構の名残”のように見えてくる。 そうした細部にこそ、スチームパンクの楽しさが宿っているのかもしれません。


Q1:普段着なのに“やりすぎ”に見えないか不安です…


A: その気持ち、とてもよくわかります。 ポイントは、色数と素材感を絞ること。 茶・黒・真鍮といったスチームパンクの基本色に沿って、素材もレザーやツイードなどを選べば、自然とまとまりが出ます。 目立ちすぎるのではなく、「何か雰囲気あるな」と思わせるスタイルを目指すのがコツです。



Q2:スチームパンクの小物、どこまで足しても大丈夫?


A:「たくさんつけたらやりすぎかも?」と迷うときは、“機能があるように見える”配置を意識してみてください。


たとえばポーチは両腰に分けて装備感を出したり、ベルトに鍵や小さなポーチ、カラビナなど“何かが吊ってある”要素を足していくと、構造が立ち上がって自然と世界観がまとまります。


実際に使うかどうかより、“これは何の道具だろう?”と想像したくなる要素があるかどうかがポイント。


「足しすぎたかも」と感じたら、最後に“意味のある配置”になっているかを見直してみるとバランスが取りやすくなります。



Q3:クラシック素材って、夏でも取り入れられる?


A: ウールやツイードは確かに秋冬向きですが、その“素材感”が持つクラシックな印象は、夏でも表現することができます。 


たとえば、ざっくりとした織りのリネンや光沢のないコットンなど、通気性のある素材でも、風合いや色味を工夫すれば、涼しさを保ちながら“時代感”を感じさせるコーディネートが可能です。


さらに、スタンドカラーのシャツやアンティーク風のボタン、ピンタックの入ったディテールなど、クラシックを連想させる要素を加えると、より雰囲気がまとまります。 帽子を合わせるなら、カンカン帽のような素材感のあるクラシックなものや、ベースボールキャップではなく、ワークキャップやキャスケットのようなレトロな形がおすすめです。


素材そのものよりも、“素材に近い空気感”を取り入れることが、夏のスチームパンクにはちょうどいい。



Q4:現代的なアイテムと組み合わせるのってアリ?


A: もちろんアリです! スチームパンクは「19世紀の技術観で進化した世界」の想像なので、現代のシルエットや素材をベースに、ディテールだけクラシックに寄せてもOK。 たとえば、スニーカーを履く場合でも、落ち着いた色味のものを選んだり、クラシックな小物と合わせてバランスを取れば、しっかり世界観になじみます。



まとめ


少しずつ、小さな工夫から。 ふだんの服にスチームパンクの「ひとさじ」を足すだけで、 世界がすこしだけワクワクする方向にズレていく。 そんなズレを、楽しんでほしいと思います。



一般社団法人スチームパンク協会理事ツダイサオのプロフィール画像

文・構成:ツダイサオ(日本スチームパンク協会 理事)

スチームパンクにまつわるデザイン、企画、執筆を通じてものづくりと空想の魅力を発信中



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