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仮想コーデで考える、コスプレじゃない普段着スチームパンクの始め方「女性編」

喫茶蒸談第49回タイトルバナー 知れば知るほどスチームパンクが楽しくなると書かれている

喫茶蒸談へようこそ

スチームパンクを、コスプレではなく普段着として楽しむにはどうすればいいのか。


今回は、生成AIで作った仮想コーディネートを使いながら、誰でも試せる考え方を整理していきます。ブランドや人物ではなく「条件がそろえばスチームパンクっぽく見える」ポイントに注目します。


※前回の続きです。今回も使っている写真は、生成AIで作った仮想のコーディネートです。実在の人物やブランドの着こなしではありません。その代わり「この人だから似合う」や「このブランドだから良い」ではなく、誰が着ても条件がそろえば普段着でもスチームパンクっぽく見える、その考え方だけを切り出すための素材として使っています。

同じようなことを手持ちの服でそれぞれ試してみるのも、意外と楽しいかもしれません。


登場する人

ツダイサオの発言アイコン

ツダイサオ:日本スチームパンク協会 理事。物事を論理的に捉えるタイプで、歴史や文化、技術の観点からスチームパンクを語るのが得意。蒸談ではMaRyの投げかけにじっくり応える“解説役”として登場することが多い。


ダークアカデミア寄りのスタイルから考える


ダークアカデミア風のダブルジャケットにタートルネックとベレー帽を合わせた、普段着スチームパンクの仮想コーデ。丈短めのワイドパンツとブーツで現代的なバランスにまとめている。


ツダイサオの発言アイコン

まずは、いわゆるダークアカデミア寄りのスタイルから。


全体としては現代的で少しオーバーサイズのダブルジャケットが主役。形自体は今っぽいで色をブラウン寄りにすることで一気に落ち着いた印象に。中はタートルネック、ダークアカデミアでは定番。これだけで首元が締まり季節感と同時に少しクラシックな雰囲気が足されます。


ベレー帽も主張のためというより、全体の時代感を揃えるためのもの。ここで一気に「ダークアカデミアっぽさ」が強まります。


丈感と足元のバランス


パンツは丈を少し短めにしたワイドシルエット。足元のブーツがしっかり見えるバランス。ロングスカートやフルレングスのパンツにすると全体がよりクラシックに寄りますが、ここではあえて丈短いものを選択してブーツを見せてます。


このコーディネート自体いきなり「スチームパンクです」とはならなくても、色を抑えて素材を揃えて重ね方を少しだけクラシック寄りにする。


それだけで、スチームパンクの街にいても違和感のない雰囲気になります。


どちらかというとダークアカデミアを入り口にして少しずつ世界観をずらしていくイメージです。


ここから先の楽しみ方


ここに小さな歯車のブローチを足してみたり時計を少しだけ存在感のあるものに変えてみたりすると、もう一段楽しくなります。コルセットを使わなくてもスチームパンクな感じは出せます。


全体はベーシックなままで細部に「好き」を足していく。


普段着スチームパンクはそのくらいの距離感から始めるのがちょうどいい気がします。


シルクハットを主役にした、軽さのあるコーディネート


白いワンピースにシルクハットとブーツを合わせた、軽やかな普段着スチームパンクの仮想コーデ。茶色に縛られない配色で、街中でも自然に馴染むスタイル。


ツダイサオの発言アイコン

次に見てほしいのがシルクハットを主役にしたコーディネート。スチームパンクの定番シルクハットを使用していながら、「茶色でなければ」「真鍮がなければ」といった、いわば“お約束”のようなイメージから少しだけ離れたコーディネート。


このコーディネートではあえてワンピースを白にして、ウエストマークに細めのレザーベルトを、ベルトをあえて茶系にすることで全体に軽さを出しています。そこにブーツとシルクハットを合わせることで、直球のスチームパンクではないけれどどこか「その街にいてもおかしくない」雰囲気に。


ポイントは全部を重くしないこと。シルクハットもクラウンの低いものを選ぶことで日常でも使いやすくなります。帽子と足元に少しだけ物語性のあるアイテムを置き、それ以外は現代的でベーシックな服に任せています。


バッグにブラックレザーのサッチャルバッグを持ってくることで少しだけギア感を。


結果として、白いワンピースの軽さ、シルクハットの非日常感、ブーツの実用感、バッグのギア感、この4つがぶつからずほどよく共存しています。


スチームパンクらしさを「色」や「素材」で決め打ちせず、シルエットやアイテムの役割で組み立てる。そんな考え方も普段着として取り入れるにはちょうどいい方法かもしれません。


ワーク寄りだけど、きちんと女性らしいコーディネート


ベレー帽とツイードベストを合わせた、メンズライクな普段着スチームパンクの仮想コーデ。ワイドなチノパンにメリージェーンシューズとがま口バッグを合わせ、ワーク感と女性らしさを両立している。

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最後に紹介するのはワーク寄りの要素を強く取り入れたコーディネート。全体としてはかなりメンズライクで一見すると作業着に近いバランスにも見える。


それでも重たくなりすぎないのはいくつかのポイントで「女性らしさ」をきちんと差し込んでいるから。まず足元はワークブーツやロングブーツのような重そうなものではなくTストラップシューズを。


この選択だけで無骨さが一段やわらぎます。バッグもレザーのがま口を合わせることで、道具感よりも生活感のある印象に寄せています。


トップスには黒のボウタイ付きブラウス。ツイードのベストと合わせることで、ワークとクラシックの中間のような雰囲気に。


ボトムはワイドなチノパン。ここはあえてきれいに履かずラフにロールアップ。それだけで自然と作業着っぽいニュアンスに。


使っているアイテムを並べるとベレー帽、ツイードのベスト、黒のボウタイブラウス、ワイドなチノパン、Tストラップシューズ、がま口バッグ


どれも特別なものではなくて、でもどこで女性らしさを足すか、どこでワーク感を残すかそのバランスを意識するだけで、コスプレではない、普段着としてのスチームパンク感でます。「全部を寄せない」「一部だけを強くする」


この考え方は、男女問わず応用しやすいポイントかもしれません。


まとめ


ツダイサオの発言アイコン

前回今回といくつかの仮想コーディネートを通して見てきましたが、共通しているのは、特別な服を使っていない という点です。ダークアカデミア寄りのジャケットスタイルも、白いワンピースにシルクハットを合わせたコーデも、ワーク寄りのメンズライクな装いも。


どれも毎年どこかのブランドが出しているような、流行と大きく関係のない定番アイテムばかりです。それでも雰囲気が変わって見えるのは色味を抑えること、服の重なり方を意識することそして「全部を説明しない」小物をひとつ足すこと。


ベレー帽やシルクハット。ボウタイやベスト。少し存在感のある靴やバッグ。

それらは「スチームパンクです」と主張するための記号ではなく世界観の余白をつくるための道具 なのかもしれません。


またスチームパンクだから茶色でなければいけない、歯車やゴーグルが必要、といった“お約束”から一度離れてみることも普段着として考える上では大切です。


街を歩いていて浮かないこと。でも少しだけ物語を感じさせること。


そのくらいの距離感が「コスプレじゃない普段着スチームパンク」にはちょうどいいのだと思います。まずはいつもの服に好きな作家さんのブローチをひとつ付けてみる。腕時計を少しだけこだわってみる。帽子を替えてみる。


その小さな違和感を楽しむところから、十分すぎるほど、始まっています。


今日のコーディネートで、少しだけスチームパンクが身近に感じられたなら、次はもう少しだけ、世界観の話をしてみましょう。


スチームパンクの装いには、もう少し実用的で働く人の服に近い方向のスタイルもあります。ベストやブーツ、ワークパンツを中心にした「普段着スチームパンク・男性編」では、もう少し無骨で機能的なコーディネートを紹介しています。



静かな書斎や、古い学校の廊下のような空気感。そんな「ダークアカデミア」と呼ばれる世界は、スチームパンクと不思議と相性がいいのです。



そして、そもそもスチームパンクって何なのか。歯車やゴーグルの向こうにある、もう少し大きな物語も、あわせて覗いてみてください。




一般社団法人スチームパンク協会理事ツダイサオのプロフィール画像

文・構成:ツダイサオ(日本スチームパンク協会 理事)

スチームパンクにまつわるデザイン、企画、執筆を通じてものづくりと空想の魅力を発信中

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