【第13回】普段着スチームパンクのススメ
- 日本スチームパンク協会
- 1 日前
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喫茶『蒸談』へようこそ
ここは蒸気と革、そして日常がすこしだけ特別になる場所
真鍮のきらめき、ツイードのぬくもり、革がなじむ重みふだんの服にも、物語をまとうことはできる
今日は、スチームパンクを日常に取り入れる工夫の話。ひとつの小物から始まる、小さな冒険へ──
コラム:「機能が見える」って、どういうこと?
スチームパンクでよく語られる「機能が見える」という感覚。 これはファッションにも応用が利いて、実際に動く必要はなくても、“動きそうな雰囲気”がある装備がコーディネートに存在しているということを指します。
たとえば、ベルトが二重になっていたり、バックルが無駄に多かったり。 ポケットがやたらと細かく分かれていたり、ボタンが装飾を兼ねていたり。 それは「便利そう」だからというより、“物語が詰まっていそうな構造”としての魅力を持っている。
スチームパンクにおける“おしゃれ”は、見た目の面白さそのものを楽しむと同時に、 「これは何のためについているんだろう?」と、想像の余白を与える仕掛けでもある。
だからこそ、ハーフパンツにベルトポーチを足すだけで世界観が立ち上がるし、 サスペンダーの金具が“機構の名残”のように見えてくる。 そうした細部にこそ、スチームパンクの楽しさが宿っているのかもしれません。
Q1:普段着なのに“やりすぎ”に見えないか不安です…
A: その気持ち、とてもよくわかります。 ポイントは、色数と素材感を絞ること。 茶・黒・真鍮といったスチームパンクの基本色に沿って、素材もレザーやツイードなどを選べば、自然とまとまりが出ます。 目立ちすぎるのではなく、「何か雰囲気あるな」と思わせるスタイルを目指すのがコツです。
Q2:スチームパンクの小物、どこまで足しても大丈夫?
A:「たくさんつけたらやりすぎかも?」と迷うときは、“機能があるように見える”配置を意識してみてください。
たとえばポーチは両腰に分けて装備感を出したり、ベルトに鍵や小さなポーチ、カラビナなど“何かが吊ってある”要素を足していくと、構造が立ち上がって自然と世界観がまとまります。
実際に使うかどうかより、“これは何の道具だろう?”と想像したくなる要素があるかどうかがポイント。
「足しすぎたかも」と感じたら、最後に“意味のある配置”になっているかを見直してみるとバランスが取りやすくなります。
Q3:クラシック素材って、夏でも取り入れられる?
A: ウールやツイードは確かに秋冬向きですが、その“素材感”が持つクラシックな印象は、夏でも表現することができます。
たとえば、ざっくりとした織りのリネンや光沢のないコットンなど、通気性のある素材でも、風合いや色味を工夫すれば、涼しさを保ちながら“時代感”を感じさせるコーディネートが可能です。
さらに、スタンドカラーのシャツやアンティーク風のボタン、ピンタックの入ったディテールなど、クラシックを連想させる要素を加えると、より雰囲気がまとまります。 帽子を合わせるなら、カンカン帽のような素材感のあるクラシックなものや、ベースボールキャップではなく、ワークキャップやキャスケットのようなレトロな形がおすすめです。
素材そのものよりも、“素材に近い空気感”を取り入れることが、夏のスチームパンクにはちょうどいい。
Q4:現代的なアイテムと組み合わせるのってアリ?
A: もちろんアリです! スチームパンクは「19世紀の技術観で進化した世界」の想像なので、現代のシルエットや素材をベースに、ディテールだけクラシックに寄せてもOK。 たとえば、スニーカーを履く場合でも、落ち着いた色味のものを選んだり、クラシックな小物と合わせてバランスを取れば、しっかり世界観になじみます。
まとめ
少しずつ、小さな工夫から。 ふだんの服にスチームパンクの「ひとさじ」を足すだけで、 世界がすこしだけワクワクする方向にズレていく。 そんなズレを、楽しんでほしいと思います。
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