「茶・黒・金」だけじゃない!スチームパンクのカラーコーディネートのススメ
- 日本スチームパンク協会

- 2025年5月7日
- 読了時間: 8分

喫茶蒸談へようこそ
スチームパンクのファッションといえば、茶色・黒・真鍮の金色。たしかにそれが王道だけど、実はそこに一色足すだけで、世界観はぐっと自由に広がる。
深い青、渋い赤、アイボリーの白。色は、自分だけの物語を語るための道具になる。今回は、スチームパンクのカラーコーディネートをどう広げていくか、MaRyとツダイサオが語り合います。
■この対談に登場するふたり

MaRy(マリィ): 日本スチームパンク協会 代表理事。感覚派で、スチームパンクの"ワクワクするところ"を見つけ出すのが得意。気になったことはどんどん質問するスタイルで、対談の聞き手としても案内役としても活躍中。

ツダイサオ:日本スチームパンク協会 理事。物事を論理的に捉えるタイプで、歴史や文化、技術の観点からスチームパンクを語るのが得意。蒸談ではMaRyの投げかけにじっくり応える"解説役"として登場することが多い。
スチームパンクの色使いって?


スチームパンクのファッションって、やっぱり茶色と黒が基本?

うん、ベースは間違いなくそこだね。石炭や蒸気機関を思わせる黒、レザーや木材の茶色、使い込まれた真鍮の金色。どれも、どことなく古い機械や旅の装備を連想させる色合いだよね。

たしかに。全部ピカピカじゃなくて、ちょっと古びた感じが、スチームパンクの空気にぴったり合ってるね。

うん、あの「使い込まれた」感じがすごく魅力なんだ。ただ、そういう重厚な色だけでまとめると、ときどき重たくなりすぎることもある。だから、そこに少しアクセントカラーを足して、バランスを取るといいんだよ。たとえば、ヴィクトリアンな深みのある赤とか、くすんだ青、渋い緑。このあたりの色をポイントで加えると、クラシックな服装にも自然に馴染むし、スチームパンクの世界観を広げてくれる。

へえ、青って意外な感じがする。茶色と合わせても大丈夫なんだ?

実はすごく相性がいいんだよ。茶と青の組み合わせは、イタリアでは「アズーロ・エ・マローネ」って言って、クラシックな着こなしの定番だったりする。
アズーロ・エ・マローネから飛行船のイメージ

アズーロ・エ・マローネ…? それってどういう意味?

「アズーロ」は晴れた空の青、「マローネ」は栗の茶色。マローネって響き、ちょっとマロンっぽいでしょ? 実際、栗の実に由来する言葉なんだ。アズーロの方も、イタリアでは自由とか冒険を象徴する特別な青なんだよ。

へえ、空の青と栗色か…。なんか飛行船が青空を旅してるみたいな、スチームパンクっぽい情景が浮かぶね!

そうそう。色を選ぶだけで、ちょっとした物語が広がる。スチームパンクって、そういう小さな色使いの工夫からでも世界観を作れるんだ。
赤・白など意外な色の取り入れ方(白衣・探検家)

でも、スチームパンクって茶色と黒ばかりってイメージが強いから、自由に色を使うってちょっと意外だったかも。

もちろんベースはクラシックな色だけど、そこにたとえば深い赤を足すと、一気にドラマチックな雰囲気が出せる。ワインレッドみたいな、少し渋い赤。ヴィクトリア時代のドレスにもよく使われてた色だね。

あー、重たいだけじゃなくて、ちょっと華やかさも加えられるんだね!

それに、白も意外とスチームパンクに合うんだ。真っ白というより、アイボリーっぽい白。たとえば研究者が着る白衣みたいな、少し使い込まれた感じの色。

たしかに! 白をうまく使えば、科学者っぽい雰囲気が出るかも。

うん。しかも白一色でも、たとえばベルトがたくさん付いてたり、特徴的なボタンが並んでたりすると、それだけで「機能が見える」コーディネートになる。スチームパンクって色だけじゃなくて、仕組みが見えることがすごく大事だからね。

なるほど〜。色だけじゃなく、デザインで物語を足していくってことなんだ!

そう。白い服でも、ポケットがいっぱいあったり、ストラップでカスタマイズされてたりすれば、しっかり冒険の匂いが出せる。色に縛られず、仕組みで世界観を作るのもスチームパンクらしさだよ。
小物で色遊びをしてみる(靴下、スカーフ、カバン etc)

でも、いきなり服全体の色を変えるのはちょっとハードル高いかも…。

そういうときは、小物から遊ぶといいよ。たとえば、靴下を深い青にしてみるとか、カバンに渋い赤を入れてみるとか。あとはスカーフや時計のベルトを変えるだけでも、ぐっと雰囲気が変わる。

それなら、普段の格好にも自然に取り入れられそう!

うん、小さなところから始めて、少しずつ世界観を広げていけばいい。最初は一つだけでも十分楽しいよ。


そう。色も、素材も、ディテールも、全部「自分の世界」を作るためのパーツ。正解なんてないし、自分らしく遊びながら、スチームパンクを楽しんでほしいな。

よーし、まずは靴下から冒険してみようかな!

いいね! 一歩ずつ、色で自分だけの冒険を作っていこう。
コラム:アズーロ・エ・マローネ――"空と旅"の色を、スチームパンクで

「アズーロ・エ・マローネ」とは、イタリア語で「空色と栗色」という意味の色合わせ。 単なるおしゃれな配色というだけでなく、イタリアではこの組み合わせに自由、旅、クラシックな上品さといったイメージが結びついている。
アズーロ(空の青)は、晴れた空への憧れや、どこまでも広がる自由の象徴。 マローネ(栗色)は、大地の温かみや、自然への敬意を感じさせる色。
このふたつが組み合わさると、どこか旅と冒険、自然と文明のあいだを行き来する感覚が生まれる。 どことなく、蒸気に乗って空を駆ける飛行船の旅を思わせる世界観だ。
スチームパンクのコーディネートにこの色合わせを取り入れるなら、
明るすぎないアズーロ(少しグレイッシュな青)
深みのあるマローネ(赤みを帯びた茶色)
を選ぶと、ぐっとクラシックな重厚感が生まれる。 「空を目指す機械仕掛けの旅人」──そんなテーマを色で語るのも、スチームパンクのひとつの楽しみ方かもしれない。
Q&A:スチームパンクカラーの疑問あれこれ
Q1:スチームパンクコーデにシルバーアクセはアリですか?
A: もちろんアリです! ただし、真鍮やブロンズに比べると、シルバーは少し現代的な印象が強いので、使い込んだ質感(いぶし銀)を選ぶと、ぐっとスチームパンクになじみます。 きらきらしすぎず、少し曇ったような質感がベスト。
Q2:スチームパンクに意外と合う色って?
A:たとえば、オリーブドラブ(濃黄緑色)の中でも、薄くて黄みがかったくすんだ緑色。本来のカーキ(砂色系)とは違うけれど、日本では「カーキ」と呼ばれることも多い色だね。 この彩度の低い黄緑は、黒や茶、真鍮色との相性がとても良くて、重たすぎないクラシックな雰囲気を作れる。 さらに、この色特有の特徴として、差し色にオレンジ(特にくすんだトーンのオレンジ)と相性抜群で加えると、すごく自然に馴染みながら遊び心が引き立つ。 濃いオリーブや単体の茶色ではオレンジが浮きやすいけれど、薄いカーキだからこそできる楽しみ、もともとはミリタリー由来だけど色のトーンを意識すれば、しっかりスチームパンクらしいコーディネートに仕上げられる。
Q3:スチームパンクコーデは何色くらい使うとバランスがいい?
A:基本は「ベースカラー1〜2色+アクセントカラー1色」くらいがおすすめ。たとえば黒と茶をベースにして、そこに真鍮色や深い赤をひとさじ加えるくらい。
ちなみに、白(アイボリー系など)は、「色」として数えるよりも「素材や世界観を支えるベース」として扱うことが多い。だから、白系を使ったとしても「+1色」とは考えず、他の色とのバランスを取る感覚でOK!
色をたくさん使いすぎるとまとまりがなくなるので、あくまで重厚なベースに対して、アクセントは控えめに。これがスチームパンクらしい奥行きを出すコツです。
まとめ
対談本文で紹介しきれなかった、スチームパンクなカラーの広げ方。色の選び方ひとつで、世界観はぐっと自由に、豊かに広がる。ぜひ、あなたらしい冒険の色を見つけてみてください!
色の話、もっと深めたくなったら
スチームパンクの色は、どこから生まれてくるのか。「連想」という切り口から色の決め方を考えると、配色がもっと楽しくなります。
まずは服の基本から押さえたい人へ
色を足す前に、スチームパンクファッションの土台を知っておくと迷いません。今の基本だけをまとめました。
スチームパンクそのものが気になった人へ
蒸気機関が発展し続けた“もうひとつの歴史”から生まれた世界観。定義から楽しみ方まで、まずは入口から。
スチームパンクの世界を、日々更新中。
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文・構成:ツダイサオ(日本スチームパンク協会 理事)
スチームパンクにまつわるデザイン、企画、執筆を通じてものづくりと空想の魅力を発信中
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