ピーキーブラインダーズとは?Netflix映画『不滅の男』公開前に基礎をおさらい【ネタバレなし】
- 日本スチームパンク協会

- 16 時間前
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喫茶蒸談へようこそ
ピーキーブラインダーズとは、第一次世界大戦直後のイギリス・バーミンガムを舞台にしたBBCのギャングドラマシリーズ(全6シーズン)。 帰還兵でもあるトミー・シェルビーが家族と共に犯罪組織を築き上げ、街から国家規模へと成り上がっていく物語だ。2013年放送開始、キリアン・マーフィーの演技が世界的に評価された。2026年3月にはNetflix映画『不滅の男』として完結編が配信される。
「名前は知ってるけど、ちゃんと観たことはない」「途中で止まってる」「映画前にもう一度頭を整理したい」——そんな人のために、ネタバレなしで基礎を丸ごと整理しました。
■この対談に登場するふたり

MaRy(マリィ):日本スチームパンク協会 代表理事。感覚派で、スチームパンクの“ワクワクするところ”を見つけ出すのが得意。気になったことはどんどん質問するスタイルで、対談の聞き手としても案内役としても活躍中。

ツダイサオ:日本スチームパンク協会 理事。物事を論理的に捉えるタイプで、歴史や文化、技術の観点からスチームパンクを語るのが得意。蒸談ではMaRyの投げかけにじっくり応える“解説役”として登場することが多い。
ピーキーブラインダーズとは?

一応確認しておくね。一言でいうとどんな作品?

第一次世界大戦直後のイギリスを舞台にした、ギャング一家の成り上がり物語。2013年からBBCで放送されて、全6シーズン。主人公トミー・シェルビーを演じるキリアン・マーフィーの演技が世界的に高く評価されたんだ、最近だと『オッペンハイマー』でアカデミー賞主演男優賞を受賞しているよ。

実在のギャングがモデルなんだよね。

そう。1890年代から20世紀初頭のバーミンガムに実在したとされる集団が元になっている。ドラマ本編はフィクションだけど、時代と場所のリアリティがベースにある。

でも、ギャングの話ってだけだと「自分には関係ないかな」って思う人もいそうだよね。実際何がそんなに面白いの?

それを聞いてくれるのを待ってた。このドラマは、ギャングの話じゃない。人間が理不尽な世界をどう生き抜くかの話なんだ。戦争から帰ってきた男たちがいる。英雄として迎えられるわけでもなく、国に守られるわけでもなく、ただ煤けたバーミンガムの街に放り出される。そこから這い上がるために、頭を使い、人を動かし、時に血を流す。トミー・シェルビーはその象徴だよ。

トミーの何がそんなに引き込まれるんだろう。

彼は「強いから勝つ」タイプじゃない。常に追い詰められていて、それでも次の一手を考え続けている。表情はほとんど動かない。感情を見せない。でも目だけが、すべてを語ってる。キリアン・マーフィーにしか演じられない役だと思う。あの沈黙の重さは、言葉より雄弁だ。

映像の雰囲気もすごく独特だよね。暗いのにかっこいい。

あの映像設計は本当に唯一無二だよ。石炭の煤で汚れたバーミンガムの路地、濃い霧、工場の煙、それが全部「美しい」に変わってる。暗いんじゃなくて、暗さを計算して作ってる。そこに現代のロックやエレクトロニカが重なる。1920年代の映像に、Arctic MonkeysやNick Caveが流れる。普通やらないことをやってて、なのに全部ハマってる。

ファッションも毎回すごいよね。あのスーツと帽子。

衣装が"強さの言語"になってるんだよ。全員がツイードのスリーピーススーツを着て、キャスケット帽をかぶる。でも着方が、キャラクターの内面をそのまま表してる。トミーは完璧に整えて威圧感を出し、アーサーはどこかがずれていて荒々しさを滲ませる。着こなしで人格がわかるドラマなんだ。

なんか、観る角度がいっぱいある作品なんだね。

それがこのドラマの強さだと思う。物語として観ても面白い、キャラクターとして観ても面白い、映像として観ても面白い、ファッションとして観ても面白い。どこから入っても引き込まれる間口の広さがある。だから世界中でファンが増え続けてるし、ドラマが終わった後も映画になる。終われない物語なんだよ。
ドラマの基本データ
放送局 | BBC(イギリス) |
放送開始 | 2013年~ |
シーズン数 | 全6シーズン |
舞台 | 1919年以降のバーミンガム |
主人公 | トーマス・シェルビー(キリアン・マーフィー) |
6シーズンをざっくり時系列で※ネタバレなし
シーズン | 時代 | テーマ |
S1 | 1919年 | バーミンガムでの勢力拡大 |
S2 | 1920年前半 | ロンドン進出 |
S3 | 1920年中盤 | 国際的な陰謀 |
S4 | 1920年後半 | 外部勢力との対立 |
S5 | 1929年前後 | 政治の世界へ接近 |
S6 | 1930年初頭 | 国家規模の緊張 |

街のギャングから始まって、最終的には国家規模になるんだよね。

そう。S1〜S4は特にファンからの評価が高い。S5・S6は賛否が分かれるけど、映画につながる文脈として重要なシーズンだから、できれば全部通しておくと映画がより深く楽しめる。
主要キャラクター3人

おさらいとして主要人物も整理しておこう。

この3人が軸だよ。
トミー・シェルビー(Thomas Shelby)
主人公。冷静な頭脳と戦場で鍛えた精神力を持つシェルビー家の実質的なリーダー。感情をほとんど表に出さないが、その分行動の重さが際立つ。映画でも引き続き中心にいる。
アーサー・シェルビー(Arthur Shelby)
トミーの兄。感情的で衝動的、荒々しさがある。弟への信頼は本物だが、その不安定さが物語の緊張感を生む。
ポリー・グレイ(Polly Gray)
シェルビー家の叔母で実質的な知恵袋。男性中心の組織の中で強さと母性を同居させた唯一無二の存在で、多くのファンに最も愛されたキャラクターのひとりだ。
世界観を理解する3つのポイント

この作品を観る前に意識しておくといいことって何だっけ?

この3つは意識しておくと物語や人の感情が分かりやすくなる。
戦争の後遺症
登場人物の多くは帰還兵。戦場から持ち帰ったものが、それぞれの行動を支配している。トミーが夢を見ない理由も、目が笑わない理由も、すべてそこにつながっている。
階級社会
イギリスは階級がはっきりしている。ピーキー・ブラインダーズは単なるギャング物語ではなく、労働者階級が社会に立ち向かう記録でもある。
産業の転換期
蒸気から電気へ。工場の煙と近代化の光が混ざる時代。あの重くて暗い映像は、リアルなバーミンガムの空気そのもの。
Netflix映画『不滅の男』ってどんな作品?

ここまで整理できたところで、映画の話をしよう。ドラマの続きなんだよね?

そう。タイトルは『ピーキー・ブラインダーズ:不滅の男』、英題は Peaky Blinders: The Immortal Man。基本はNetflixの作品で、2026年3月20日から独占配信される。3月6日に劇場公開ってなってるけどイギリスだけっぽい。

舞台はS6の続き?

S6から数年後、1940年のバーミンガム。第二次世界大戦が激化する中、自ら姿を消していたトミーが帰還するところから始まるみたいだね。
映画基本データ
タイトル | ピーキー・ブラインダーズ:不滅の男 |
原題 | Peaky Blinders: The Immortal Man |
Netflix配信 | 2026年3月20日(金) |
劇場先行上映 | 2026年3月6日(イギリス国内のみ) |
舞台 | 1940年・第二次世界大戦中のバーミンガム |
監督 | トム・ハーパー(S1監督) |
脚本 | スティーヴン・ナイト(ドラマ原作者) |
上映時間 | 111分 |

あらすじはどんな感じ?

戦時下のバーミンガムで、消えていたトミーがかつてない試練に向き合うために帰還する。家族の未来、故郷、そして国そのものが揺れる中で自分の内なる悪魔と対峙し、遺産を守るのか、それとも焼き尽くすのか。そういう選択を迫られる物語。

新しいキャストも加わってるんだっけ?

ドラマからはキリアン・マーフィ(トミー)、ソフィー・ランドル(エイダ)らが続投。新キャストとして、バリー・コーガン、レベッカ・ファーガソン(『DUNE』シリーズ)、ティム・ロス(『レザボア・ドッグス』)が加わっている。

ドラマを観ていなくても映画は楽しめる?

楽しめる部分はあると思う。でも正直に言うと、6シーズンかけて積み上げてきたトミーというキャラクターの文脈を知っているかどうかで、刺さり方がまるで違う。映画だけでも入れるけど、ドラマを経た上で観ると別の感動があると思う。予告編見ただけでグッとくるからね。
Netflixでの視聴環境

ドラマも映画も、どこで観られるの?

ドラマ版・映画版ともにNetflixで視聴できる(※配信状況は時期により変動する場合があるので最新情報を確認して)。映画は2026年3月20日からNetflixで独占配信開始。ドラマ6シーズンを観てから映画へ、という流れが理想だよ。

今から観始めても間に合う?

一気見すれば十分間に合う。でも焦らなくてもいい。この物語は、急ぐより浸る方が面白い。
◆映画前チェックまとめ◆
✔ ドラマは2013年〜、全6シーズン・Netflixで視聴可能
✔ 映画『不滅の男』はNetflixで2026年3月20日配信
✔ 舞台はS6から数年後・1940年の第二次世界大戦中
✔ トミーが姿を消した地から帰還し、家族と故郷を守る物語
✔ ドラマ未視聴でも入れるが、全部観た方が絶対に深く楽しめる
よくある質問(FAQ)
Q. ピーキーブラインダーズは全部で何話ある?
A.全6シーズン、合計36話。1シーズンあたり6話構成で、1話の尺は約60分。一気見するなら週末2〜3日あれば全部通しで視聴可能。
Q. Netflixで全シーズン観られる?
A.配信状況は時期により変動するが、執筆時点ではNetflixでドラマ全6シーズンが視聴可能。映画『不滅の男』も2026年3月20日からNetflixで独占配信される。最新の配信状況はNetflix公式で確認を。
Q. 映画はドラマを観ていなくても楽しめる?
A.楽しめる部分はある。ただし映画はドラマS6の続きにあたる位置づけで、登場人物の背景や人間関係を知っているかどうかで刺さり方がまるで変わる。できればS1から観ることを強くすすめます。
Q. 映画は劇場でも観られる?
A.基本はNetflix作品。一部劇場で2026年3月6日に先行上映と告知されているが、これはイギリス国内のみのようです。
Q. 何シーズンまで面白い?
A.S1〜S4は特にファンからの評価が高く、多くの人が「この辺りが最高潮」と言うことが多い。S5・S6は賛否が分かれるが、映画につながる伏線が張られているシーズンでもある。映画を深く楽しみたいなら全部観ておくのがベスト。
Q. 実話がベースなの?
A.モデルになった実在のギャング組織は存在する。1890年代から20世紀初頭のイギリス・バーミンガムで活動していたとされる集団で、名前もそこから来ている。ただしドラマの内容はフィクションで、歴史的事実の再現ではないです。
Q. 子どもと一緒に観られる?
A.暴力描写、性的描写、薬物描写を含むため、大人向けの作品。レーティングはR指定相当。子どもとの視聴はおすすめしません。
ピーキーブラインダーズの魅力に触れたなら、その先にも面白い世界がある。
あの衣装をもっと深く知りたい人へ
ツイードのスリーピーススーツ、キャスケット帽、アルバートチェーン——ピーキーのファッションには、時代と階級と強さが縫い込まれている。
あの時代の「働く服」の歴史が気になった人へ
1920年代の労働者が着ていた服には、産業革命から続く必然がある。作業服の歴史とその美学を掘り下げた記事。ピーキーの世界観と地続きの話。
「この煤けた美学、もっと知りたい」と思った人へ
蒸気と鉄と革命――ピーキー・ブラインダーズが描いた時代の空気を、もっと深く楽しめる世界観がある。それがスチームパンクです。

文・構成:ツダイサオ(日本スチームパンク協会 理事)
スチームパンクにまつわるデザイン、企画、執筆を通じてものづくりと空想の魅力を発信中
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