top of page

攻殻機動隊とは?TVアニメ新シリーズ放送開始で基礎をおさらい【ネタバレなし】

  • 執筆者の写真: 日本スチームパンク協会
    日本スチームパンク協会
  • 7月22日
  • 読了時間: 8分
スチームパンク対談シリーズ「喫茶蒸談(STEAMOGRAPHY)」のシリーズ共通カード。第74回喫茶蒸談 今回は攻殻機動隊を扱う

喫茶蒸談へようこそ


2026年7月7日、TVアニメ『攻殻機動隊 THE GHOST IN THE SHELL』の放送が始まった。士郎正宗の原作漫画をもとにした映像化としては、監督の系統で数えると4番目にあたるという歴史あるシリーズの新作である。


名前は知っていても観たことがない、という人も多い作品だと思う。新シリーズが始まった今は、初めて触れるのにちょうどいいタイミングでもある。今日はネタバレなしで、この作品の入り口と、サイバーパンクとスチームパンクの「好き」がどう地続きなのかを話していく。



■この対談に登場するふたり


MaRyの発言アイコン

MaRy(マリィ):  日本スチームパンク協会 代表理事。感覚派で、スチームパンクの"ワクワクするところ"を見つけ出すのが得意。気になったことはどんどん質問するスタイルで、対談の聞き手としても案内役としても活躍中。


ツダイサオの発言アイコン

ツダイサオ:日本スチームパンク協会 理事。物事を論理的に捉えるタイプで、歴史や文化、技術の観点からスチームパンクを語るのが得意。蒸談ではMaRyの投げかけにじっくり応える"解説役"として登場することが多い。


シリーズ4番目、というのがまずすごい


MaRyの発言アイコン

攻殻機動隊、新シリーズ始まったね。話題になってるみたいだけど、そもそも「何作目」なの?結構前からある作品だよね?


ツダイサオの発言アイコン

うん、監督の系統で数えると、今回で4番目になるんだ。1995年に押井守監督が劇場アニメ化したのが最初で、それが世界中のクリエイターに影響を与えた伝説的な一本と言われている。その後にテレビシリーズの「STAND ALONE COMPLEX」(神山健治監督)、前日譚を描いた「ARISE」なんかも作られていて、今回はその系譜に連なる完全新作という位置づけ。


MaRyの発言アイコン

30年選手なんだ。息の長さがすごい。


ツダイサオの発言アイコン

しかも今回は、これまで37年間このシリーズのアニメを手がけてきた制作会社から、サイエンスSARUっていうスタジオに替わってるんだ。『犬王』とか『きみの色』みたいな独特な映像美で知られてるところだから、これまでとはまた違う画作りになりそうで注目されてる。あと原作コミックの第1巻を正面から映像化するアプローチも、今回ならではのポイントなんだよね。


あらすじはこんな感じ(ネタバレなし)


MaRyの発言アイコン

観たことない人向けに、どんな話なのか教えてほしい。


ツダイサオの発言アイコン

舞台は近未来の日本。サイボーグ化した身体を持つ草薙素子っていう主人公が、電脳犯罪に立ち向かう特殊部隊「公安9課」を率いていく話なんだ。技術が発達しすぎて、機械の身体に人間の心がどこまで宿るのか、っていう問いがシリーズを通しての軸になってる。


MaRyの発言アイコン

機械の身体に、心が宿るかどうか。


ツダイサオの発言アイコン

そう、これがこの作品の一番大事なテーマでね。「ゴースト」っていう言葉で呼ばれるんだけど、そこから先は観てのお楽しみにしておこうか。


実は脚本家が、スチームパンクと縁の深い人


ツダイサオの発言アイコン

あとね、これはスチームパンク好きとして触れておきたいんだけど、今回の新シリーズ、脚本を担当してるのが円城塔さんっていうSF作家なんだ。芥川賞も取ってる人でね。


MaRyの発言アイコン

へえ。その人、スチームパンクと関係あるの?


ツダイサオの発言アイコン

あるんだよ。円城さんの代表作の一つに『屍者の帝国』っていう小説があってね。これがまさに、19世紀末を舞台にしたスチームパンクSFとして知られてる作品なんだ。死者を「屍者」として蘇らせて労働力にする技術が広まった、もう一つのヴィクトリア朝の世界を描いてる。


MaRyの発言アイコン

うわ、設定からしてめちゃくちゃスチームパンクじゃん。


ツダイサオの発言アイコン

そうなんだよ。もともとは伊藤計劃さんっていう作家の未完の遺作を、盟友だった円城さんが引き継いで完成させたっていう、来歴もドラマチックな一冊でね。劇場アニメにもなってる。だから今回の攻殻機動隊の脚本家は、サイバーパンクとスチームパンク、両方の世界を書いてきた人なんだ。


MaRyの発言アイコン

作り手自身が、両方を行き来してるんだ。それは説得力あるなあ。


ツダイサオの発言アイコン

この『屍者の帝国』、いずれ喫茶蒸談でもちゃんと一本取り上げたいと思ってる作品なんだよね。今日は名前だけ覚えて帰ってもらえたら。


サイバーパンクとスチームパンク、「好き」の根っこは地続き


MaRyの発言アイコン

脚本家が両方書いてるって話も聞くと、余計に気になるんだけど。攻殻機動隊とスチームパンクって、繋がりあるの?


ツダイサオの発言アイコン

先週の「サイバーパンクとは」の回でも話したけど、ジャンルとしては共通点があったりなかったりで、機械への向き合い方はむしろ正反対なんだよね。でも面白いのが、実際のファンって「どっちか片方だけ好き」って人は意外と少なくて、両方好きって人がすごく多いんだ。さっきの円城さんみたいに、作り手が両方書くのも珍しくない。


MaRyの発言アイコン

あー、それ分かる気がする。世界観は違うのに、なんか同じ人が好きになる感じ。


ツダイサオの発言アイコン

たとえば分かりやすいのがスター・ウォーズでね。あれって、そもそもは神話をベースにしたスペースオペラなんだ。ジョージ・ルーカスが神話学者の研究を下敷きにして作った、英雄の冒険譚。


MaRyの発言アイコン

え、スチームパンクともサイバーパンクとも違うジャンルじゃん。


ツダイサオの発言アイコン

そうなんだよ。でも、あの作品に出てくる機械のデザインって、ピカピカの新品じゃなくて、傷だらけで油で汚れてて、いかにも使い込まれた質感でしょ。あの「古びた機械の感じ」が、スチームパンク好きにグサッと刺さるんだ。ジャンルはスペースオペラなのに、スチームパンク的な琴線に触れる部分がちゃんとある。


MaRyの発言アイコン

ジャンルの名前じゃなくて、「そういう質感が好き」っていう根っこの部分で反応しちゃうんだ。


ツダイサオの発言アイコン

まさにそれ。サイバーパンクも同じでね。表現してる世界はスチームパンクと全然違うんだけど、「もう一つの世界を想像する楽しさ」とか「機械のある風景にグッとくる感覚」みたいな、根っこの"好き"の部分ではしっかり重なってる。だから攻殻機動隊を観て「この感じ好きかも」って思った人は、スチームパンクも好きになる素質が十分あると思うんだよ。


MaRyの発言アイコン

入り口がどのジャンルでも、行き着く"好き"は繋がってるってことか。いいねそれ。


もっと深く知るには


MaRyの発言アイコン

前回「サイバーパンクとは」の回で、名前の系譜からディファレンス・エンジンの話まで散々やったから、今日の攻殻機動隊の話もすんなり入ってきたけど。まだ前回を読んでない人もいるだろうから、一言案内しておきたいな。


ツダイサオの発言アイコン

そうだね。サイバーパンクの定義とか、スチームパンクとの関係を一から知りたい人は、前回を先に読んでおくと、今日の話がもっと立体的に見えてくると思う。


MaRyの発言アイコン

予習してから来ても、先週の復習をしてから来ても、どっちでも楽しめるやつだ。


ツダイサオの発言アイコン

新シリーズはまだ始まったばかりだから、今から追いかけても全然置いていかれない時期だと思う。名前だけ知ってて観たことなかった人こそ、いい機会だよ。


MaRyの発言アイコン

機械に心は宿るのか、っていう問い、観ながら考えてみようかな。


ツダイサオの発言アイコン

それがこの作品の醍醐味だから、ぜひ。そして観てるうちに「この世界の質感、好きかも」って思ったら、それはもうスチームパンクとも地続きの"好き"だから。そのときはうちにも遊びに来てくれたら嬉しいな。


よくある質問


Q. TVアニメ『攻殻機動隊 THE GHOST IN THE SHELL』はいつから放送ですか?


A.2026年7月7日(火)よる11時から、カンテレ・フジテレビ系全国ネット「火アニバル!!」枠で放送開始。Prime Videoでは同日23時30分から国内最速配信されています。


Q. 攻殻機動隊はどんな作品ですか?


A.士郎正宗の漫画を原作に、電脳化・義体化が進んだ近未来を舞台に、特殊部隊「公安9課」が電脳犯罪に立ち向かう物語です。機械の身体に心(ゴースト)は宿るのか、という問いが軸になっています。2026年版は、原作コミック第1巻を正面から映像化する新しいアプローチが特徴です。


Q. 攻殻機動隊とスチームパンクにはどんな接点がありますか?


A.ジャンルとしての機械の描き方はむしろ正反対ですが、実際にはサイバーパンクとスチームパンクの両方を好むファンは多くいます。たとえばスター・ウォーズの使い込まれた機械の質感がスチームパンク好きにも刺さるように、「もう一つの世界を想像する楽しさ」や「機械のある風景に惹かれる感覚」といった"好き"の根っこの部分では重なっています。攻殻機動隊を入り口に、スチームパンクに親しみを感じる人も少なくありません。


Q. 新シリーズの脚本を担当する円城塔とはどんな作家ですか?


A.芥川賞を受賞したSF作家です。スチームパンク好きにとって縁が深いのが、代表作の一つ『屍者の帝国』。19世紀末を舞台に、死者を「屍者」として労働力に使う技術が広まった世界を描いたスチームパンクSFで、伊藤計劃の未完の遺作を円城塔が引き継いで完成させた作品です。劇場アニメ化もされています。


サイバーパンクの基礎から知りたい人へ

「サイバーパンクとは何か」を、語源から代表作、スチームパンクとの違いまで一からまとめています。




スチームパンクそのものが気になった人へ


蒸気機関が発展し続けた“もうひとつの歴史”から生まれた世界観。定義から楽しみ方まで、まずは入口から。



スチームパンクの世界を、日々更新中。


Instagramでは作品・イベント・デザインのビジュアルを。 Xでは最新のイベント情報などをつぶやいています。 気に入ったらフォローしてもらえると、新しい記事や発見をお届けできます。


▶ Instagram @japansteampunk 



一般社団法人スチームパンク協会理事ツダイサオのプロフィール画像

文・構成:ツダイサオ(日本スチームパンク協会 理事)


スチームパンクにまつわるデザイン、企画、執筆を通じてものづくりと空想の魅力を発信中

詳しいプロフィールはこちら



コメント


bottom of page