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ヴィンテージとは何か|語源はワイン、そして「古いほど価値がある」が生まれた日

執筆者の写真: 日本スチームパンク協会
日本スチームパンク協会
8月19日
読了時間: 12分

更新日:8月26日

スチームパンク対談シリーズ「喫茶蒸談(STEAMOGRAPHY)」のシリーズ共通カード。第78回喫茶蒸談 今回はヴィンテージについてを扱う

喫茶蒸談へようこそ


デニム、レザー、時計、家具。「ヴィンテージ」という言葉は、今では古くて価値のあるものすべてに使われる。けれど考えてみると、これは不思議な感覚だ。普通、モノは古くなれば価値が下がる。なぜ人類は「古いほど良い」と考えるようになったのか。その答えを辿ると、ワインと、そして産業革命の時代に行き着く。



■この対談に登場するふたり


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MaRy(マリィ):  日本スチームパンク協会 代表理事。感覚派で、スチームパンクの"ワクワクするところ"を見つけ出すのが得意。気になったことはどんどん質問するスタイルで、対談の聞き手としても案内役としても活躍中。


ツダイサオの発言アイコン

ツダイサオ:日本スチームパンク協会 理事。物事を論理的に捉えるタイプで、歴史や文化、技術の観点からスチームパンクを語るのが得意。蒸談ではMaRyの投げかけにじっくり応える"解説役"として登場することが多い。


そもそも「ヴィンテージ」ってどういう意味?

薄暗いワインセラーで、棚に横たわる多数のボトルが年号1913、1925、1942、1940、1943、1945とラベル表示されている

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ヴィンテージデニムとか、ヴィンテージの時計とか、普通に使ってるけど、この言葉の意味ってちゃんと考えたことなかったな。


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じゃあ語源から入ろうか。「ヴィンテージ」って、もともとワインの用語なんだ。ラテン語の「ぶどうを収穫する」に遡って、古いフランス語の vendange という言葉を経て、英語の vintage になった。


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え、ワインの言葉だったの?


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そう。本来は「ぶどうの収穫年」を指す言葉でね。それが転じて、とくに良質なぶどうが穫れた年、いわゆる「当たり年」のワインを指すようになった。今でもワインのラベルに書いてある年号のことをヴィンテージって呼ぶでしょ。


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あー、あれか。じゃあ服とかギターに使うのは、後から広がった意味なんだ。


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その通り。「当たり年のワイン」から「古くて質のいいもの全般」へ、意味がどんどん拡張していった。



「ヴィンテージ」の語源はラテン語の「ぶどうを収穫する」。もとはワインの収穫年、とくに当たり年のワインを指す言葉だった。


なぜワインだけが「古いほど良い」のか


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でも考えたら不思議だよね。食べ物って普通、古くなったらダメになるじゃん。


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そこ、すごく大事なところなんだ。パンもチーズも肉も、時間が経てば価値が落ちる。ところがワインは、ちゃんとした条件で寝かせておくと味が深まる。時間が価値を「生む」側にまわる、数少ない商品だったんだよ。


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たしかに、そんなもの他にあんまりないかも。


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この特殊性がポイントでね。人類が「時間が経ったほうが良い」という感覚を、最初に受け入れた対象がワインだった。しかも「1本ずつ違う」「この年は特別だ」という語り方まで一緒に生まれた。


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それが後から、服とかギターにも使われるようになるんだ。


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うん。1966年のこのモデル、1955年のこの年式、みたいな言い方するでしょ。あれ、完全にワインの文法なんだよ。年号で語って、当たり年を探して、その一本を欲しがる。



通常、食品は時間とともに価値が落ちる。ワインは例外的に「時間が価値を生む」商品であり、年号で語る文化はここから始まった。


「古いものが良い」は、産業革命が生んだ感覚


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じゃあ、ワイン以外のものにも「古いほど良い」が広がったのって、いつ頃なの?


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ここからが今日の本題。決定的だったのが19世紀、産業革命の時代なんだ。


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え、そんなに昔?


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うん。機械による大量生産が始まって、安価な商品が街にあふれた。それまで職人が一つずつ作っていたものが、工場から同じ形でいくらでも出てくるようになったわけ。


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便利になったんだよね。


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便利にはなった。でも同時に、ある感覚が生まれる。「機械で作られる前のものは、良かったんじゃないか」って。


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あ……大量生産があったから、逆に手仕事に価値を感じるようになったんだ。


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そこなんだよ。実際、1880年代のイギリスでウィリアム・モリスが起こしたアーツ・アンド・クラフツ運動は、まさにこの反動だった。大量生産された粗悪な商品を批判して、中世の職人がやっていた手仕事の美しさを取り戻そうという運動でね。


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つまり「古いものが良い」って感覚は、大量生産が始まるまで存在しなかったってこと?


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少なくとも、今みたいな形では成立しなかったと思う。だって比べる相手がいないでしょ。全部が手仕事なら、手仕事に特別な価値なんて生まれない。安く大量に作られたものが登場して初めて、そうでないものが輝きはじめる。



大量生産の登場によって初めて「機械化以前の手仕事」に価値が見出された。アーツ・アンド・クラフツ運動はその反動として19世紀後半に起きている。


同じことが、100年後にもう一度起きた


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なんかその話、聞き覚えがあるかも。


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気づいた?同じ構造のことが、20世紀にもう一度起きてるんだよ。日本でヴィンテージデニムに価値が見出されたのは1980年代。リーバイスの501みたいな古いデニムを、バイヤーがアメリカ中から探してきた。


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ちょうど大量生産の服が当たり前になった頃だ。


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そこなんだよ。19世紀のイギリスでも、20世紀の日本でも、人は同じ反応をしてる。大量生産と、古いものへの憧れは、いつもセットで現れる。


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安いものがあふれるほど、そうじゃないものを探したくなるんだ。



19世紀のアーツ・アンド・クラフツも、1980年代のヴィンテージデニム文化も、大量生産への反動という点で同じ構造を持っている。


ただし今は、少し危うい段階にある


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そう。そして2000年代にファストファッションが上陸して、価格破壊が起きたとき、一時的にヴィンテージデニムの相場は下がったと言われている。でもその後、また価値が見直されて、今はかつてないほどの高騰ぶりでね。


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どれくらい?


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2026年に、第二次大戦中に作られたリーバイスのデニムジャケットが5,500万円で、「最も高額な古着のデニムジャケット」としてギネスに認定された。


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5,500万円!?ジャケット一枚が?


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うん。しかも最近は、ヴィンテージデニムを「資産」という言葉で語る人も出てきてる。


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資産……。もう着るものじゃなくなってきてない?


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そこ、僕もちょっと引っかかってるところなんだ。ここまで来ると、価値の理由が変わってくる。


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どういうこと?


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最初は「作りがいい」とか「今はもう作れない生地だ」っていう、モノ自体の理由で値段がついてたわけでしょ。でも高騰が続くと、だんだん「高いから価値がある」「値上がりするから買う」に変わっていく。価値が価値を生むループに入っちゃうんだよね。


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あー、それはちょっと危ない感じがする。


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しかもこれ、既視感があってさ。ワインもまったく同じ道を通ってるんだ。もともとは飲むものだったのに、いつしか投資の対象になって、開けられないまま倉庫で転売され続けるボトルが生まれた。


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ヴィンテージの語源になったワインが、先に同じことになってたんだ。


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そう。「時間が価値を生む」という感覚は美しいんだけど、行きすぎると「価値が価値を生む」に化ける。着られない服と、飲まれないワイン。そうなると、もともとの良さって何だったんだろうって思うよね。



現在ヴィンテージデニムは高騰を続け、2026年には5,500万円のデニムジャケットがギネス認定されるまでになった。一方で「資産」として語られる場面も増え、モノ自体の良さより価格が価値の根拠になる循環に入りつつある。


余談:ヴィンテージを生んだワインが、消えかけた話


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ちなみにワインの方は、その頃どうしてたの?


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実はね、「ヴィンテージ」という感覚を生んだワインそのものが、まさに同じ19世紀に絶滅しかけてるんだ。


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え、どういうこと?


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1863年頃から、フィロキセラっていうアメリカ原産の害虫がヨーロッパに広がってね。ぶどうの根に寄生して木を枯らすんだけど、薬が効かないうえに繁殖力が高くて、フランスのワイン生産量の3分の2が失われた。


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3分の2!壊滅じゃん。


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それでワインが手に入らなくなったとき、代わりに飲まれるようになったのがアブサンなんだ。緑の妖精と呼ばれた、あの酒ね。


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あ、うちでも記事にしたやつだ。


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そう。で、話はここで終わらなくて。その後ワイン産業が接ぎ木という技術で復活すると、今度はアブサンが商売敵になる。ワイン生産者たちは「アブサンは人を狂わせる危険な酒だ」という主張を後押しして、1908年のスイスを皮切りに、各国でアブサンは禁止されていった。


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うわ、生々しい話……。


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「時間が価値を生む」という感覚を人類に教えたワインが、その裏でこういう歴史も持ってる。ヴィンテージという言葉の背後には、そういう因縁もあるんだよ。



「ヴィンテージ」を生んだワインは19世紀にフィロキセラ禍で壊滅的な被害を受け、その空白にアブサンが台頭。ワイン復活後、アブサンは禁止へと追い込まれた。


スチームパンクは「当たり年」を持たない


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ここまで聞いてて思ったんだけど、スチームパンクってヴィンテージとはちょっと違うよね。


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いいところに気づいた。決定的に違う点があってね。ヴィンテージって、実在した年代を指すでしょ。1955年のこれ、1966年のあれ、って。つまり本物であることが価値の根拠になってる。


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たしかに、年代を特定するために縫製とかタグとか調べるもんね。


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でもスチームパンクが愛でているのは、実在しなかった時間なんだ。蒸気機関があのまま発展していたら、という「もうひとつの歴史」。当たり年も、製造年も、本物の証明も、そこには存在しない。


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じゃあ全然違うものなのかな。


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それがね、根っこの部分は同じだと思ってる。今日の話を思い出してほしいんだけど、「古いものが良い」っていう感覚が生まれたのは19世紀、産業革命の時代だった。


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あ。それってまさに、スチームパンクが舞台にしてる時代だ。


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そうなんだよ。『ヴィンテージという価値観が生まれた時代を、スチームパンクは世界観として選んでいる。』真鍮が経年変化していく味わいも、デニムの色落ちも、ワインの熟成も、見ているものは同じでね。時間が何かを良くしていく、という感覚。


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好きなものの根っこが、同じところにあったんだ。


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それとね、さっきの高騰の話とも繋がるんだけど。スチームパンクって、本物の証明書がないぶん、価格がつり上がりようがないんだ。年代を鑑定して値段をつける、っていう回路がそもそも存在しない。


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あ、たしかに。自分で作ったものに相場なんてないもんね。


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そこは案外、健全なのかもしれないと思ってる。値段じゃなくて「これ、いい感じになってきたな」っていう自分の目だけが基準になる。真鍮を磨いて、また曇らせて、その変化を楽しむ。誰も値付けしてくれないけど、誰にも取り上げられない。


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ヴィンテージって、ただ「古いもの」って意味だと思ってた。


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でも実際は、ワインの当たり年から始まって、産業革命への反動で意味を広げて、今の形になった言葉なんだよね。古いものを選ぶって、実はけっこう歴史のある行為なんだ。


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懐古趣味って言われがちだけど、そういう話じゃないんだね。


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うん。むしろ「大量に作られたものではないほうを選ぶ」という、19世紀から続く態度だと思う。今度ヴィンテージのデニムやジャケットを手に取るとき、そのラベルの向こうにワインの当たり年があると思うと、ちょっと違って見えるかもしれない。



よくある質問


Q. ヴィンテージの語源は何ですか?


ラテン語の「ぶどうを収穫する」に由来し、古フランス語の vendange を経て英語の vintage になりました。もとはワインの収穫年を指す言葉で、とくに良質なぶどうが穫れた当たり年のワインを意味していました。そこから「古くて質の良いもの」全般を指す言葉へと拡張されました。


Q. 蒸気機関車に変速機がないのはなぜですか?


A.蒸気機関はエネルギーを作る場所(ボイラー)と力を取り出す場所(シリンダー)が分離しているためです。ボイラーに蒸気を溜めておけるので、機関が停止していてもバルブを開いた瞬間から力を出せます。一方の内燃機関はシリンダー内で燃焼させる構造上、動き続けていないと力を出せず、クラッチと変速機が必要になります。鉄道へのディーゼル機関導入が長らく難航したのも、この問題が理由の一つでした。


Q. ヴィンテージとアンティークの違いは何ですか?


A.一般に、アンティークは製造から100年以上経過した品を指し、美術的・歴史的価値が重視されます。対してヴィンテージは製造から20年以上100年未満のものを指すことが多く、その時代の技術やデザイン性が評価の対象になります。


Q. なぜ古いものに価値があるとされるのですか?


A.産業革命による大量生産が始まったことで、それ以前の手仕事の品に相対的な価値が見出されるようになったのが大きな転換点です。19世紀イギリスのアーツ・アンド・クラフツ運動はその代表例で、同じ構造の現象は1980年代の日本のヴィンテージデニム文化にも見ることができます。


Q. なぜ人は経年変化したものに惹かれるのですか?


A.使い込まれた革の艶やデニムの色落ち、真鍮の曇りといった経年変化は、その物が過ごしてきた時間そのものが表面に現れたものです。同じ製品でも一点ずつ変化が異なるため、大量生産品にはない固有性が生まれます。この感覚が広く共有されるようになったのは、機械による大量生産が普及して以降のことでした。


Q. ヴィンテージデニムはなぜ高額なのですか?


A.希少性と、当時の製法や生地が現在では再現困難であることが主な理由です。2026年には第二次大戦中に製造されたリーバイスのデニムジャケットが5,500万円で「最も高額な古着のデニムジャケット」としてギネス世界記録に認定されました。一方で近年は「資産」として語られる場面も増えており、モノ自体の質より価格そのものが価値の根拠になりつつある側面も指摘できます。


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一般社団法人スチームパンク協会理事ツダイサオのプロフィール画像

文・構成:ツダイサオ(日本スチームパンク協会 理事)


スチームパンクにまつわるデザイン、企画、執筆を通じてものづくりと空想の魅力を発信中

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