【第30回】スチームパンクの祭典、日本蒸奇博覧会
- 日本スチームパンク協会

- 9月10日
- 読了時間: 8分
更新日:9月14日

喫茶蒸談へようこそ
日本蒸奇博覧会は、日本スチームパンク協会が主催するスチームパンクに特化したイベントで現在の日本においては最大級のスチームパンクイベントです。 2014年に始まり、10年という節目を迎え今年は新たな10年へとむけて歩みを進めることとなりました。今年の開催は2025年10月18日・19日。この記事が公開される今は、ちょうど一か月前というタイミングです。そこで今回、二週にわたって日本蒸奇博覧会をテーマにした対談をお届けします。前半では、日本蒸奇博覧会がどんなイベントなのかを紹介し、後半では今年の開催で予定されている内容や楽しみどころをお伝えします。

開催概要
開催日 2025年10月18日(土)19日(日)
開催時間 11:00-20:00(19日は19:00まで)
入場料 1000円
会場 STUDIO EASE 目黒
■この対談に登場するふたり

MaRy(マリィ):日本スチームパンク協会 代表理事。感覚派で、スチームパンクの“ワクワクするところ”を見つけ出すのが得意。気になったことはどんどん質問するスタイルで、対談の聞き手としても案内役としても活躍中。

ツダイサオ:日本スチームパンク協会 理事。物事を論理的に捉えるタイプで、歴史や文化、技術の観点からスチームパンクを語るのが得意。蒸談ではMaRyの投げかけにじっくり応える“解説役”として登場することが多い。
日本蒸奇博覧会の季節がやってきた

今年もやってきたね、この季節が。

そうだね。10月といえばもう恒例になった日本蒸奇博覧会。2024年で十周年っていう節目を迎え今年は新たな十年への第一歩でもあるし、いつも以上に特別な感じがするよ。

ほんと。毎年の準備でバタバタしてるのに、やっぱりこの時期が来るとワクワクするんだよね。

うん。だから今回の蒸談は、前半で蒸奇博覧会がどんなイベントなのかをあらためて紹介して、後半では今年の見どころを語っていこうか。
服装は自由、あなたのスタイルで楽しめる


初めて来る人から「衣装を着ていかないといけないんですか?」ってよく聞かれるんだよね。外から見ると、どうしてもコスプレイベントに見えるみたいで。

確かにそう思われることはあるよね。でも蒸奇博覧会はコスプレイベントではないんだ。スチームパンクの服を着ている人も多いけど、それは誰かになりきるためじゃなくて、自分自身を表現するため。だから普段着でもいいし、アクセサリーひとつだけでも十分に世界観を味わえる。

会場を歩いてみるとわかるけど、本当に服装は人それぞれ。街歩きの格好でふらっと寄った人もいれば、真鍮の小物でちょっと雰囲気を出してる人、全身をスチームパンクスタイルで決めてる人。どんなスタイルでも自然に受け入れられる空気があるんだよね。

そうそう。たとえば普段のファッションに歯車モチーフのペンダントをつけたり、古本屋で見つけた懐中時計をポケットに忍ばせたりするだけで、もう立派な“スチームパンクスタイル”になる。それくらい自由度が高いし、その人なりの個性が自然と輝くんだ。

しかも来場者同士で「その帽子かわいいですね」「どこで手に入れたんですか?」なんて会話が生まれることも多い。服装そのものがコミュニケーションのきっかけになるのも楽しいところだよね。

だから蒸奇博覧会は、決まったルールのある仮装の場じゃなくて、“自分なりのスチームパンク”を見つけられる場なんだ。身構える必要はまったくないし、むしろ気軽に来ることが楽しさにつながっていくと思うよ。
会場を歩けば宝探しのように多彩な作品に出会える


じゃあ実際に会場に行ったら、どんなものが見られるの? 初めての人にとってはそこが一番気になると思うんだよね。

本当に幅広いんだ。真鍮や革を使ったアクセサリー、ゴーグルや衣装のようなファッションアイテム、歯車や配管を組み合わせた造形物、さらにアート作品、同人誌まで並んでいる。中にはスイッチを押すと実際に動き出す機械仕掛けの作品なんかもあって、思わず足を止めて見入ってしまうよ。

歩いていると「これは身につけたい」「これは部屋に飾りたい」「これは物語の世界に浸れる」と、見える景色がどんどん切り替わっていく感じ。お店を覗いているだけで、まるで宝探しをしているみたいにワクワクできるんだよね。

そうそう。アクセサリーは日常に取り入れやすいし、衣装やゴーグルは非日常の扉を開いてくれる。アートや本は「家に帰っても世界観を楽しめる」っていう形で持ち帰れるんだ。会場を歩くたびに、自分にとっての“スチームパンク”の入り口がいくつも見つかるんだよ。

しかも出展者の人たちは、みんな自分の作品について直接語ってくれる。素材の話や、なぜこの形にしたのか、どうやって動かしているのか。作品そのものが会話のきっかけになって、買う・買わないに関係なく楽しめるのも魅力だと思うな。

そうだね。単なる“物販イベント”じゃなくて、作品を通して作り手とつながれる。これも蒸奇博覧会ならではの楽しさだと思うよ。
誰でも歓迎! 初めての人こそ世界に浸れる


それと、これもよく聞かれるんだよね。「一般の人でも入れるんですか?」って。どうしても専門的なイベントに見えるみたいで。

もちろん誰でも入れるよ。むしろ初めての人に来てもらうのが一番うれしいくらいなんだ。スチームパンクの知識がなくても、会場を歩くだけで「こんな世界があったのか!」って驚けるからね。

会場の中には本当にいろんな楽しみ方があるからね。アクセサリーを買って身につける人もいれば、写真を撮って雰囲気を持ち帰る人もいるし、ただ歩いて見て回るだけでも十分に楽しい。どのスタイルでも歓迎できる空気があるんだよね。

しかも作家さんたちは来場者との会話を楽しみにしているから、作品について質問すれば気さくに答えてくれる。「どうしてこの形にしたんですか?」とか「ここ、どうやって動いてるんですか?」なんて聞くと、すぐに制作の裏話やアイデアのきっかけを教えてくれるんだ。知識ゼロでも、その場で物語に引き込まれるのが面白いところだよ。

だから、専門家じゃないと楽しめないんじゃないか、と心配する必要はまったくない。むしろ「ちょっと気になるから見てみようかな」という人こそ、世界観に一番びっくりしてくれるんだよね。

そうそう。蒸奇博覧会は“好きな人のためだけの場”じゃなくて、“これから好きになるかもしれない人”を歓迎する場でもある。そこに十年間続いてきた理由があるんだと思うよ。
一人参加でも大丈夫、むしろ出会いが生まれる


あと、「一人で行っても大丈夫ですか?」っていう質問もよくもらうよね。

大丈夫どころか、一人で来ている人はたくさんいるよ。むしろ一人の方が、気になる作品の前でじっくり立ち止まれるし、作家さんと腰を据えて話せるんだ。たとえば「どうやって思いついたんですか?」とか「仕掛けを動かすときに苦労したことはありますか?」なんて聞けば、目を輝かせて語ってくれる。

そうそう。そうやって会話をしていると、自然と横にいた来場者が混ざって話が広がることもある。気がつけば新しい仲間ができていた、なんてことも珍しくないんだよね。

だから、一人で来るのを不安に思う必要はまったくない。むしろ一人だからこそ楽しめる余白があって、それが蒸奇博覧会の魅力のひとつなんだ。
舞台のような会場ロケーション、昼と夜で二度楽しい


そして最後に、会場の雰囲気も伝えておきたいね。蒸奇博覧会の会場は目黒駅近くの STUDIO EASE 目黒。完全に撮影スタジオで、有名アーティストのMVやファッションブランドの撮影でも使われている場所なんだよね。

そう。だから雰囲気が格別なんだ。昼は緑やレンガの建物が映えて、まるでヨーロッパの街角を散策しているような気分になるし、夜になるとライトアップされて一気に幻想的な空気に変わる。

暗くなってくると、来場者が自分で持ってきたLEDランタンを灯すこともあって、それがまた雰囲気を盛り上げてくれるんだよね。光が点々と揺れている光景は、まるで映画のワンシーンみたい。

作品を楽しむだけじゃなくて、会場全体がひとつの舞台になる。そこに身を置くことで、自分自身が物語の登場人物になったような体験ができるのも蒸奇博覧会ならではなんだ。

だからこそ、蒸奇博覧会はただの展示即売会じゃなくて、会場全体が物語の舞台になるんだよね。初めて訪れる人も、何度も来ている人も、それぞれの物語の主人公になれる時間がそこにあると思う。

そうだね。十周年を迎える今年は、これまで以上にその舞台が鮮やかに広がっていくはず。まずは気軽に足を運んで、その空気を全身で感じてもらいたいな。

というわけで今回は、蒸奇博覧会がどんなイベントなのか、そして今年の見どころをざっと紹介してきたけど…やっぱり実際に会場に来て、自分の目で体験してほしいな。きっと想像以上の発見があると思うよ。

うん。十周年を迎える今年は特に特別な回になりそうだしね。まずは気軽に足を運んで、会場の空気を味わってもらえたら嬉しいな。

次回は、今年の蒸奇博覧会で実際にどんなことが行われるのかを詳しく紹介していきます。ファッションショーや十周年記念のメインビジュアル展示など、特別な企画が盛りだくさん。今年ならではの楽しみを、たっぷりお届けします。
日本蒸奇博覧会2025前売りチケット
日本蒸奇博覧会2025公式ページ

文・構成:ツダイサオ(日本スチームパンク協会 理事)
スチームパンクにまつわるデザイン、企画、執筆を通じてものづくりと空想の魅力を発信中
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