【第28回】SFフリマ——「スコシフシギ」を持ち寄る場
- 日本スチームパンク協会

- 8月27日
- 読了時間: 6分

喫茶蒸談へようこそ
今日の蒸談は、少し趣向を変えてイベントのお話。
日本スチームパンク協会が主催する「SFフリマ」って、どんなイベントなんでしょうか。

SFフリマとは?
SFフリマ——SF(スコシフシギ)をテーマにしたイベントです。 並んでいるのは、SF、ファンタジーからスチームパンク、サイバーパンクいろいろなジャンルのいろいろな作品たち。空想世界をかたちにしたアクセサリーやガジェットなど、「スコシフシギ」な作品が集まります。
■この対談に登場するふたり

MaRy(マリィ):日本スチームパンク協会 代表理事。感覚派で、スチームパンクの“ワクワクするところ”を見つけ出すのが得意。気になったことはどんどん質問するスタイルで、対談の聞き手としても案内役としても活躍中。

ツダイサオ:日本スチームパンク協会 理事。物事を論理的に捉えるタイプで、歴史や文化、技術の観点からスチームパンクを語るのが得意。蒸談ではMaRyの投げかけにじっくり応える“解説役”として登場することが多い。
出展ジャンルと雰囲気


SFフリマって名前だけ聞くと、SF小説ばかりが並んでいるイメージを持たれるかもしれないよね。

そうだね。でも実際はもっと幅広くて。アクセサリーやガジェットのような雑貨が多くて、ファンタジーやスチームパンク、サイバーパンクを題材にした作品が中心なんだ。

そうそう。文章系や本格的なSFの出展はまだ少なめだけど、少しずつ増えてきている。これから広がっていくと、また違った楽しみ方ができるよね。

あと、これはよく誤解されるんだけど、SFフリマは日本スチームパンク協会が主催しているから、一部の人には「スチームパンクのイベント」だと思われることがあるんだ。

でも実際は、スチームパンクに限らないよね。

うん。あくまで「スコシフシギ=空想」を楽しむ場として企画しているから、ファンタジーやサイバーパンクも歓迎している。もちろんスチームパンクの人も多いけど、それだけじゃないんだ。
どう楽しむ? 会場の魅力


会場を歩くと、ほんとにいろんなジャンルが混ざり合ってて面白いんだよね。

アクセサリーや小物を買うだけじゃなくて、出展者と直接話して作品の裏にあるストーリーを聞けるのも魅力だと思う。

うん。普段はネットでしか見られない作品を実際に手に取れるのもイベントならではだし、その場限りのアイテムに出会えるのもいいよね。あと会場はそれほど広くはないから一人一人の作家さんをじっくり見られるっていうのも魅力かも。

確かにデザインフェスタのような巨大な会場でのお祭り感もいいけど見て回ってるだけで疲れちゃうことも多いからね、初めての人でも気軽に立ち寄れるし、敷居の低さもこのイベントの大きな特徴だと思う。
新しいフォトスポットも登場

そういえば、今回って新しくフォトスポットも作ってるよね。

うん。作品を買うだけじゃなくて、会場そのものを楽しんでもらえるようにしたくてね。空想世界に入り込んだみたいに写真が撮れる仕掛けを用意してる。

そういうのがあると、ちょっと立ち寄った人でも気軽に楽しめるよね。

そうだね。フォトスポットをきっかけにイベントを知って、そこから作品にも触れてくれたらうれしいな。
どんな人に来てほしい?

どんな人に来てもらえたらうれしい?

やっぱり空想の世界が好きな人かな。SFやファンタジーの小説を読んで育った人はもちろん、最近になってアニメやゲームから興味を持った人にも気軽にのぞいてほしい。

確かに。アクセサリーや小物なら、普段あまりイベントに行かない人でも手に取りやすいもんね。

そうそう。普段はあまりこういうジャンルに触れていない人でも、ちょっと気になるものを見つけられると思う。あと、クリエイターさんにとっても「初めて発表する場」として使ってもらえるとうれしいな。

発表の場でもあり、出会いの場でもあるんだね。
こんな人に出展してほしい

そういえばさ、来場する人だけじゃなくて「こんな人に出展してほしい」っていうイメージもあるよね。

あるある。まずはやっぱりSF好きな人。実はガチガチのSF作品を出している人はまだ少なくてね。だからこそ、そういう人にももっと参加してほしい。

一瞬「場違いかな?」って思うかもしれないけど、全然そんなことないよね。

むしろSFやファンタジー、スチームパンクって、もともと一つの「空想を楽しむ世界」から広がっていったものだから、その橋渡しを体現してくれる人がいるとすごくうれしい。

あとは初めての人にも出展してほしいな。

うん。会場はそれほど大きくなくて、お客さんも気軽にブースを周遊できる。だからこそ、作家さんと直接お話しできる空気があるんだ。

デザインフェスタやコミケみたいな大規模イベントだと、通り過ぎる人を見て一日が終わっちゃうこともあるもんね。

そうそう。出展したけど「本当にお客さん来てくれるのかな」って不安になって、そのまま続けられなくなるケースもある。でもSFフリマは初めての一歩にちょうどいい場だと思う。
麻宮騎亜先生によるイベントビジュアル

そういえば、イベントビジュアルは麻宮騎亜先生に描いていただいたんだよね。

うん。先生は『快傑蒸気探偵団』のようなスチームパンク作品から、『宇宙戦艦ヤマト』関連のSF、『太陽系SF冒険大全 スペオペ!』のようなスペースオペラ、さらに『聖獣伝承ダークエンジェル』のようなファンタジー作品まで、本当に幅広く手がけてきた方なんだ。

まさに、このイベントの雰囲気にぴったりだよね。

そう。SF、ファンタジー、スチームパンク、スペースオペラ——空想をかたちにするジャンルを横断してきた先生にビジュアルをお願いできたのは、このイベントの方向性とすごく重なっていると思う。

あのイラストを見るだけで「空想の世界を楽しむイベントなんだ」ってすぐに伝わるよね。

うん。イベントの雰囲気を象徴する一枚になっていると思う。
なぜこのイベントを立ち上げたのか

でも、どうしてこういうイベントをやろうって話になったんだっけ?

最初にアイデアを出してたよね。もともとSFもファンタジーも、広い意味では「空想を形にする」という同じ土俵にあったんだ。

そうそう。でも時代とともにジャンルが分かれて、それぞれ別々のものとして扱われるようになっちゃった。

そうなんだよね。その結果、ジャンルごとにちょっと距離ができてしまったところもあった。

だから「ジャンルを横断して楽しめる場」を作ろう、っていう流れになったんだよね。

うん。それで“SF”を「Science Fiction(サイエンスフィクション)」じゃなく「すこしふしぎ」として使うことにしたんだ。藤子・F・不二雄先生が、自作の短編集で「“SF”の二文字は、すこしふしぎな物語の意味です」と説明していて、そこから発想を借りたんだよね。

なるほどねえ。つまりSFフリマは、空想を楽しむ人たちが自然に集まれる場所、ということだね。

そう。肩肘張らずに参加できるし、作品を作る人も、買う人も、空想の世界を一緒に楽しむことができる。そういう場にしたいと思っている。

なるほど。空想を楽しむ人が気軽に集まれる場所にしたい、っていうのが出発点だったんだ。

そう。買い物でも体験でもいいし、作品を作る人も見る人も、まずは一緒に楽しんでほしい

気になったら、ぜひ会場に足を運んでみてほしいな。空想の世界をのぞきに行くつもりで、気軽にね。

文・構成:ツダイサオ(日本スチームパンク協会 理事)
スチームパンクにまつわるデザイン、企画、執筆を通じてものづくりと空想の魅力を発信中
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