明治偉人隊って知ってる?明治村で歌い踊る、令和生まれのおもてなし偉人グループ
- ツダイサオ
- 3 日前
- 読了時間: 7分

喫茶蒸談へようこそ
愛知県犬山市にある野外博物館・明治村には、明治時代を生きた偉人たちが「蘇って」歌い踊るグループがいる。その名も「明治偉人隊」
そして実はこのグループ、私たち日本スチームパンク協会と浅からぬ縁があります。今日はその話をしましょう。
■この対談に登場するふたり

MaRy(マリィ): 日本スチームパンク協会 代表理事。感覚派で、スチームパンクの"ワクワクするところ"を見つけ出すのが得意。気になったことはどんどん質問するスタイルで、対談の聞き手としても案内役としても活躍中。

ツダイサオ:日本スチームパンク協会 理事。物事を論理的に捉えるタイプで、歴史や文化、技術の観点からスチームパンクを語るのが得意。蒸談ではMaRyの投げかけにじっくり応える"解説役"として登場することが多い。
「明治偉人隊」で検索してくれる人が増えている

最近さ、サイトの検索データ見てたら「明治偉人隊」で調べて来てくれる人がじわじわ増えてて。

ああ、うちがスチームパンク装備のお手伝いしたね。考えたら、このサイトでちゃんと明治偉人隊のことをまとめたことなかったよね。

たしかに。せっかくだから、今日は基本的なところからまとめてみようか。

いいね。明治偉人隊は、愛知県犬山市の野外博物館・明治村を拠点に活動してるグループ。偉人の魂が宿ったアイテムを偶然手にしたことがきっかけで、現代に蘇ったっていう設定なんだ。2019年、令和改元のタイミングで5人体制でデビューしてる。

メンバーは結構入れ替わっていて、今は松井須磨子、津田梅子、石川啄木、高橋瑞、森鷗外の5人。歌や踊り、一人芝居を通して「明治の価値」を伝えるのが活動の軸だよね。
芝居小屋「呉服座」で会える、偉人たち

拠点は明治村の中でも、重要文化財の芝居小屋「呉服座」(くれはざ)と、入鹿池を背にした芝生広場。土日祝日を中心に公演をやってて

歌とダンスのショーだけじゃなくて、偉人が自分の人生を一人称で語る「偉人物語」っていう一人芝居もあるよね。史実をなぞるんじゃなくて、その人になりきって語りかけてくる構成が面白い。

松井須磨子が『人形の家』のノラを演じた本人として喋るの、何度見てもグッとくるんだよなあ。

単発のショーというより、ちゃんと「生きているキャラクター」として長く続けている活動なんだよね。だからこそ、うちも安心してコラボさせてもらえたんだと思う。
明治偉人隊と、スチームパンクの衣装

で、今日いちばん話したいのはここ。2022年に明治偉人隊の初のCDアルバム「異世界事情」が出たとき、テーマがスチームパンクで、うちがその衣装まわりの監修に入らせてもらったの。あのときのメンバーは樋口一葉、夏目漱石、福澤諭吉、松井須磨子、瀧廉太郎の5人だった。

あの案件、懐かしいな。ベースの衣装自体は、もともと明治偉人隊の衣装を作ってる方が仕立ててくれていて、うちはそこに歯車やゴーグルみたいなスチームパンクの装備を足して仕上げる部分を担当したんだよね。

完成形はあくまで「偉人」だからね。可愛らしさとかポップさより、重厚感とか威厳を出す方向を意識してた。フロックコートに、肩章とか、飾緒みたいな軍装っぽいディテールを足して、革のハーネスやシルクハットで締める、みたいな。

史実の人物に装飾を足しすぎても違和感が出るから、そのバランスがなかなか難しかった。派手なガジェットを盛り盛りにするよりも、「偉人らしい重み」を壊さないことを優先した記憶がある。ちなみに結成時のメンバーは野口英世さんもいて、2021年に卒業した後に瀧廉太郎さんが加入してるから、あの5人体制も「ずっと同じ顔ぶれ」だったわけじゃないんだよね。

うんうん。完成した衣装で、ニコニコ超会議2022の「超スチームパーク」(うちの協会主催のブース)に出演してもらって、明治偉人隊にとって初めての関東遠征になったんだよね。2日間で計5ステージやってもらったんだけど、これがもう大盛り上がりで。最後は出展者みんなも一丸になって、「TURN THE WORLD」に合わせて腕を回す景色が圧巻だったの、今でも覚えてる。時間が経つのは早いもので、あのときのメンバーで今も残ってるのは松井須磨子さんだけなんだけど。

メンバーの卒業や加入自体は、これまでも何度かあったことだからね。今の顔ぶれとはまた違う空気だったと思う。ステージでは「TURN THE WORLD」とか「STEAMHORSE」とか、アルバム収録の新曲を初披露してもらって。最後にはこちらから認定証を渡した。あの2日間はほんとに嬉しかったな。
なぜ「明治の偉人」と「スチームパンク」は相性がいいのか

でもさ、改めて考えると、なんで明治の偉人たちにスチームパンク衣装が似合うんだろう。

それはこのサイトで何度も話してることと同じ理由だと思う。スチームパンクって、ゴシックを起源に持ちながら西部開拓時代や和風、いろんな文化と自由に融合してきた世界観なんだ。特定の「正解の形」を持たない。

たしかに、和装の明治偉人隊にすんなり乗っかったのも、そう考えると納得だね。

それに明治時代そのものが、日本にとって「過去の技術と、押し寄せてくる未来の技術がぶつかった時代」でもある。樋口一葉や夏目漱石が生きた時代は、まさに蒸気機関が社会を変えていった時代でもあるからね。史実の明治と、スチームパンクが描く「もう一つの歴史」が、根っこのところで重なってる。

なるほどね。だから違和感がないというか、むしろすごく自然に見えたのか。
着地
2022年、松井須磨子がスチームパンク衣装をまとってステージに立ったように、史実の人物が、史実にはなかった姿で目の前に現れる。これもまた、私たちが「もう一つの歴史」と呼んでいるものの、ひとつの形なのかもしれません。今度明治村を訪れる機会があれば、ぜひ呉服座を覗いてみてください。今は松井須磨子・津田梅子・石川啄木・高橋瑞・森鷗外という、また新しい顔ぶれに会えるはずです。
よくある質問
Q. 明治偉人隊とは何ですか?
愛知県犬山市の野外博物館・明治村を拠点に活動する、おもてなし偉人グループです。2019年の令和改元とともにデビューし、歌や踊り、一人芝居を通して明治時代の価値を伝えています。これまで何度かメンバー交代があり、2026年7月現在は松井須磨子・津田梅子・石川啄木・高橋瑞・森鷗外の5名です。
Q. 明治偉人隊とスチームパンクにはどんな関係がありますか?
A.2022年に発売された明治偉人隊初のCDアルバム「異世界事情」がスチームパンクをテーマにしており、日本スチームパンク協会がスチームパンク衣装まわりの監修を担当しました。ベースとなる衣装自体は明治偉人隊を普段から手がける衣装担当者が仕立てたもので、協会はそこに歯車やゴーグルなどスチームパンクの装備を足して仕上げる部分を担いました。完成形はあくまで「偉人」であることを踏まえ、可愛らしさよりもテーラードのロングコートや肩章・飾緒などの軍装ディテールで重厚感・威厳を出す方向でデザインしています。当時のメンバー(樋口一葉・夏目漱石・福澤諭吉・松井須磨子・瀧廉太郎)は、同年のニコニコ超会議「超スチームパーク」(協会主催)にこの衣装で出演しています。なお瀧廉太郎は2019年の結成メンバーではなく、2021年に卒業した野口英世の後任として加入した人物です。当時のメンバーで現在も活動しているのは松井須磨子のみです。
Q. 明治偉人隊はどこで見られますか?
A.主な活動拠点は博物館明治村で、重要文化財の芝居小屋「呉服座」や芝生広場を中心に、土日祝日にショーや一人芝居の公演を行っています。公演スケジュールは明治村公式サイト(明治偉人隊ページ)で随時確認できます。
協会の活動をもっと知りたい人へ
明治偉人隊との出会いは、私たちが主催するイベントから生まれました。スチームパンクの祭典がどんな場所か、覗いてみませんか。
和とスチームパンクの融合をもっと見たい人へ
時代の違うものが自然に馴染むのは、明治偉人隊だけじゃありません。昭和レトロとスチームパンクの相性を語った回もどうぞ。
スチームパンクそのものが気になった人へ
蒸気機関が発展し続けた“もうひとつの歴史”から生まれた世界観。定義から楽しみ方まで、まずは入口から。
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文・構成:ツダイサオ(日本スチームパンク協会 理事)
スチームパンクにまつわるデザイン、企画、執筆を通じてものづくりと空想の魅力を発信中
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