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ダークアカデミアと文房具の話

  • 執筆者の写真: 日本スチームパンク協会
    日本スチームパンク協会
  • 7 時間前
  • 読了時間: 7分
喫茶蒸談第50回タイトルバナー 知れば知るほどスチームパンクが楽しくなると書かれている

最近、文房具があらためて注目されています。ダークアカデミアの世界では、万年筆をはじめとした文房具が、知的な時間を象徴する存在として親しまれてきました。


喫茶蒸談へようこそ


ダークアカデミア。名前だけ聞くと、どこか遠い世界の思想や美学のように感じるかもしれません。けれど実際には、古い本、書き慣れたノート、少し重たい万年筆のような、とても身近なものと深くつながっています。


今回の喫茶蒸談では、ダークアカデミアと文房具の関係を、文化や歴史の話を交えながら、できるだけ日常に近いところから眺めてみます。難しい思想の話は控えめに。まずは「たしかに、わかるかも」と思えるところから。


ダークアカデミアについて基本的な部分を知りたい人はまずこちらから




■この対談に登場するふたり


MaRyの発言アイコン

MaRy(マリィ):日本スチームパンク協会 代表理事。感覚派で、スチームパンクの“ワクワクするところ”を見つけ出すのが得意。気になったことはどんどん質問するスタイルで、対談の聞き手としても案内役としても活躍中。


ツダイサオの発言アイコン

ツダイサオ:日本スチームパンク協会 理事。物事を論理的に捉えるタイプで、歴史や文化、技術の観点からスチームパンクを語るのが得意。蒸談ではMaRyの投げかけにじっくり応える“解説役”として登場することが多い。



文房具ってやっぱりいいよね。

古い書斎机に万年筆とノート、ノートパソコンが並ぶダークアカデミア的な作業風景

MaRyの発言アイコン

文房具って、あまりにも「普通」じゃない? 毎日使うけど、そこに世界観とか文化があるなんて考えたこともなかったな。


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そうだよね、空気みたいな存在。でも、ペンを走らせる、紙をめくる。そんな何気ない営みの集積が、実は僕たちの文化を底上げしてきたんだと思う。


MaRyの発言アイコン

営みの集積……。


ツダイサオの発言アイコン

そう。改めて見ると、そこには「書くこと」を大事にしてきた時間がちゃんと積み重なってる 。そこに宿る物語を見つけると、日常が少し違って見えてくるはずだよ。


「学ぶ姿」に恋をする文化


書斎でノートに向かう人物の姿。ダークアカデミアの知的な雰囲気を表すシーン


ツダイサオの発言アイコン

最近よく耳にする「ダークアカデミア」も、実はそこが入り口なんだ。


MaRyの発言アイコン

前に蒸談でも取り上げたよね! もう一回おさらいしておこう。


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ダークアカデミアは1992年の小説『シークレット・ヒストリー』がルーツと言われていて、古典文学や人文学への深い愛が根底にあるんだ 。知識そのものより、「学んでいる時間」や「書いている姿」の美しさに惹かれる文化だね 。IVYリーグをもとにしたファッションなんかも人気。


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結果より過程というか、その図書館的な空気感そのものを愛でる感じ。


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その通り。知的好奇心と耽美主義が交差する場所というか 。だからこそ、思考を形にするための「文房具」が、単なる道具を超えて主役になっていくんだよね。


万年筆とか羽ペン、みんな好きだよね。


万年筆の構造を描いた設計図。文房具に宿る機構とロマンを示すイメージ


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そうなると、やっぱり万年筆とか羽ペン? 正直、ちょっと憧れちゃう。


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効率だけで言えばボールペンのほうが楽なんだけどね。でも、あえて手間のかかる道具を選ぶ贅沢がある。たとえば、カヴェコ(Kaweco)みたいなコンパクトでクラシックな万年筆 。


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あ、それなら見たことある! 手に馴染みやすそう。


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Kawecoは1930年代の面影を残すデザインで、それだけで物語を感じるよね 。自分でインクを吸い上げ、紙の抵抗を感じながらペンを走らせる。その「没入感」そのものが、ひとつの儀式なんだよ。


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あえて不便さを愉しむことで、自分の世界に深く入り込んでいくんだね。


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その通り。たとえ手元にあるのが平凡なペン一本だったとしても、それが自分の「知」を紡ぐ相棒だと思えた瞬間、そこにはもう物語が生まれている 。個人的にはちょっとモダンだけどLAMYの万年筆を愛用してる。


ノートは自分だけの「アーカイブ」


古書とノート、万年筆が並ぶ木製の机。ダークアカデミアを思わせる落ち着いた文房具の風景

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ノート選びも重要だよ。トラベラーズノートやミドリのMDノート、あるいは少し装飾的なペーパーブランクスとか 。


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トラベラーズノートって、使い込むほど傷がついて雰囲気が出るよね。


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そう。あれは単なる記録じゃなくて、自分の歴史を物理的に蓄積していく装置なんだ 。


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自分の思考が、質感として残っていく……。


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その積み重ね自体が、一つの芸術作品(アーカイブ)なんだと思うよ。


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なんか「書斎」っていう響きも、ちょっと特別感があっていいよね。古びた図書館みたいな。


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机と椅子、それに本と文房具。真鍮製のステーショナリーを一つ置くだけで、そこはもう自分だけの「思考の聖域」になる 。


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カフェでノートを開くときも、自分だけの小さな書斎を持ち歩いているような、密やかなワクワクがあるもんね。


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まさに。ツイードのジャケットを羽織ってお気に入りの道具を広げる 。それだけで、日常が映画のワンシーンみたいに変わるよ。


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ダークアカデミアって、もっと敷居が高いものだと思ってた。


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何か特別なものをゼロから揃える必要はないんだ。根底にあるのは、未知のものへの好奇心や、学ぶ行為をロマンチックに愉しむ姿勢だからね 。


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形から入るんじゃなく、今手元にあるペン一本を「知を紡ぐ相棒」だと意識するだけでいいんだね。


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その通り。たとえ平凡なペンでも、そこに君の物語が始まった瞬間、それはもう立派なダークアカデミアだよ。

MaRyの発言アイコン

なんだか、今すぐ何かを書き留めたくなってきた!


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その静かな高揚感こそが入り口。憧れの世界は、案外もう手元で始まっているのかもね。


ダークアカデミアを日常に。

――知を紡ぐ、おすすめ文房具セレクション


「形から入るのも、立派な文化への敬意」というツダイサオの視点から、手に取りやすく、かつ世界観にどっぷり浸れるアイテムを厳選しました。


1. 万年筆:思考を滑らせる相棒


  • Kaweco(カヴェコ) スポーツ 1930年代のクラシックなデザインを継承した、ドイツの老舗ブランドのペン。ポケットサイズで持ち運びやすく、歴史の重みを感じさせながらもカジュアルに使い倒せます 。


  • LAMY(ラミー) サファリ バウハウスの哲学が息づく機能美が魅力。タフに使える設計で、あえてマットブラックなどの落ち着いた色を選べば、モダンなダークアカデミア・スタイルに馴染みます。


  • J.HERBIN(エルバン) トラディショナルインク 「ヴィオレパンセ(すみれ色)」や「ティーブラウン」など、古書を思わせる色彩が豊富。ガラス瓶をデスクに置くだけで、そこはもう19世紀の書斎です。


2. ノート:知のアーカイブを築く


  • MDノート(ミドリ) 「書くこと」に特化した、潔いほどシンプルなノート。クリーム色の紙質は目に優しく、万年筆との相性も抜群です。思考のノイズを削ぎ落としてくれます 。


  • トラベラーズノート 使い込むほどに風合いを増す牛革カバー。リフィルを入れ替えて「自分の歴史」を物理的に積み重ねていく感覚は、まさにこの世界観の醍醐味です


  • ロイヒトトゥルム1917 伝統的なハードカバーノート。ページ番号付きで目次が作れるため、学んだ知識を整理して「自分だけの百科事典」を作るのに適しています 。


  • B6サイズのグリッドノート: 持ち運びやすく、図解も文字も自由に書き込めるサイズ。フィールドワークのお供として、自分だけの「研究記録」を綴るのに最適です。


3. アクセサリー:空間を「聖域」にする


  • 真鍮(ブラス)製の小物: ペンケースや定規など、真鍮は時間とともに色が深く変化します。その「経年変化」を愉しむ姿勢も、ダークアカデミアの重要な要素です 。


  • レザーのブックカバー: 使い古された革の質感は、知的な好奇心と耽美主義が交差するこの文化の象徴。手元の本を保護すると同時に、読書の時間を特別な儀式に変えてくれます 。



ツダイサオの発言アイコン

最初から高いものを揃える必要はないんだ。 たとえば、使い古したLAMYのペン先を眺めながら、今日学んだことを数行ノートに書き留める。その瞬間に、君の物語はもう始まっているから。


MaRyの発言アイコン

まずは、お気に入りのペンで今の気持ちを書くところから始めてみるね!


ツダイサオの発言アイコン

もしその「古き良き時代」の空気に心地よさを感じたなら、もう一歩、奥へ踏み込んでみるてください。僕たちが愛してやまない「スチームパンク」の世界も、実はすぐ隣に広がっているから。


 文房具の先にある、もう一つの空想世界へ


19世紀の歯車と蒸気が織りなす、レトロフューチャーな物語。 ダークアカデミアと響き合う「スチームパンク」の魅力を覗いてみませんか?


スチームパンクの入口へと書かれたスチームパンク入門記事へのリンクボタン

一般社団法人スチームパンク協会理事ツダイサオのプロフィール画像

文・構成:ツダイサオ(日本スチームパンク協会 理事)

スチームパンクにまつわるデザイン、企画、執筆を通じてものづくりと空想の魅力を発信中

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