【第31回】日本蒸奇博覧会 2025 ― 催し紹介編
- 日本スチームパンク協会

- 9月17日
- 読了時間: 10分

喫茶蒸談へようこそ
日本蒸奇博覧会は、日本スチームパンク協会が主催するスチームパンクに特化したイベントで現在の日本においては最大級のスチームパンクイベントです。 2014年に始まり、10年という節目を迎え今年は新たな10年へとむけて歩みを進めることとなりました。今年の開催は2025年10月18日・19日。この記事が公開される今は、ちょうど一か月前というタイミングです。前回は、日本蒸奇博覧会がどんなイベントなのかを紹介しました。今回はその続き。今年の蒸奇博覧会で実際に体験できる催しを、一つひとつ見ていきましょう。

開催概要
開催日 2025年10月18日(土)19日(日)
開催時間 11:00-20:00(19日は19:00まで)
入場料 1000円
会場 STUDIO EASE 目黒
■この対談に登場するふたり

MaRy(マリィ):日本スチームパンク協会 代表理事。感覚派で、スチームパンクの“ワクワクするところ”を見つけ出すのが得意。気になったことはどんどん質問するスタイルで、対談の聞き手としても案内役としても活躍中。

ツダイサオ:日本スチームパンク協会 理事。物事を論理的に捉えるタイプで、歴史や文化、技術の観点からスチームパンクを語るのが得意。蒸談ではMaRyの投げかけにじっくり応える“解説役”として登場することが多い。
前回のおさらい

前回のおさらいになるけど、蒸奇博覧会ってただの展示イベントじゃなくて、会場そのものが舞台になってるんだよね。

そう。だから催しも“見る”だけじゃなく、“参加して体験する”ことに重きが置かれている。今年もいろんな仕掛けが用意されているから、順番に紹介していこう。
メインビジュアル展示とイラスト集


そういえば今年は特別な展示があるんだよね。10年を越えた記念で、歴代のメインビジュアルが全部集まるって聞いたよ。

そうなんだ。2014年の第1回から毎年描かれてきたビジュアルを、一堂に並べて展示する。フライヤーやポスターで見てきた人も多いと思うけど、こうして並べて見るとまるで「蒸奇博の10年史」をたどるような体験になるんじゃないかな。

確かにあの絵って、ただイベントの顔というだけじゃなくて、作家さんごとのタッチや、その年の雰囲気がそのまま映し出されてるよね。年ごとに「この頃はこんな盛り上がりがあったな」とか「この作風が印象的だったな」って思い出が蘇る。

うん。いろいろなアーティストが描いてきたから、それぞれの時代感や蒸奇博の空気を象徴するものになってる。1枚1枚がその年を刻む“記録”でもあるんだ。だから並んだ姿を見ると、単なる絵の展示じゃなくて、積み重なった時間や人の熱量まで見えてくると思う。

そう考えると、これまで関わってきた作家さんへのオマージュでもあるよね。あの展示を見たら、きっと「蒸奇博ってこんなに歩んできたんだ」っていう実感が湧いて、次の未来に向けてのワクワクにもつながる気がするな。

まさにそれを感じてもらえたら嬉しい。今年の展示は“10年を超えて、さらに先へ”という節目をみんなで共有できる場になると思うよ。

そう考えると、これまで関わってきた作家さんへのオマージュでもあるよね。あの展示を見たら、きっと「蒸奇博ってこんなに歩んできたんだ」っていう実感が湧いて、次の未来に向けてのワクワクにもつながる気がするな。

その節目を記念して、歴代ビジュアルをまとめたイラスト集も作ったんだ。イベントで使われたメインビジュアルが一冊に収まっていて、過去に見逃したものや、普段なかなか目にする機会のないものもあるから、「あ、こんなのもあったんだ!」っていう発見もあると思う。

それは嬉しいね!展示で一気に見られるのもすごいけど、イラスト集ならじっくり手元で眺められるし、蒸奇博の10年以上の歩みを持ち帰れるっていうのも特別な記念になりそう。

そう。単なる記録本じゃなくて、一冊で「蒸奇博の世界観」を感じ取れる内容になっているから、展示とあわせて楽しんでもらえると思うよ。
ファッションショー


蒸奇博といえば、やっぱりファッションショーが特別な催しだよね。でも普通のショーと少し違っていて、お客さんとして来ている人がステージに立てるのが面白いところ。

そうなんだ。せっかくおしゃれして遊びに来る人が多いから、その姿を披露できる場を用意しているんだ。照明や音楽の演出が加わると、一瞬で本物のランウェイになる。

あれはいいよね。客席から見ているだけでも楽しいけど、知り合いが歩いていたりすると一気に会場が盛り上がる。

気になった人は応募を受け付けているから、ぜひのぞいてみてほしい。いつもの服装でも、ちょっと特別な装いでも、自分らしい姿で歩けるのが魅力なんだよね。
蓄音機のライブパフォーマンス


今回の蒸奇博覧会で特に気になってるのが、蓄音機のライブパフォーマンスなんだよね。本物の100年前の蓄音機を持ち込んで、実際に当時のレコードを鳴らすって聞いて、すごくワクワクしてる。

あれは特別だよ。電気を一切使わず、針とホーンの振動だけで音を響かせる仕組みだから、音が“生”なんだ。レコード盤に刻まれた溝の震えがそのまま空気に伝わって、目の前に広がる。現代のスピーカーで聴く音楽とはまったく違う体験になるんだよ。

それに、目の前で回っているレコードや大きなホーンから音が飛び出してくる様子を見ると、ただ音楽を聴く以上の感覚になるんだよね。まるで一瞬だけ100年前にタイムスリップしたみたいで。

会場の雰囲気ともすごく合うんだよ。真鍮の装飾や歯車の造形に囲まれて、そこに蓄音機の響きが加わると、まるで過去と未来が同時に存在している空間になる。蒸気の匂いやアンティークの光景に、さらに音が加わることで、会場全体が“物語の中の一場面”みたいに感じられるはずだよ。

普段はなかなか出会えない体験だし、「音楽を聴く」っていう行為そのものの原点を感じられるのもいいよね。
作家ブース


蒸奇博覧会といえば、やっぱり作家さんたちのブースは欠かせないよね。今回もおなじみの面々が集まってくれるんだよね。

そうだね。常連の作家さんたちが並んでいると、“帰ってきた”っていう安心感がある。真鍮を使ったアクセサリーや、歯車の仕掛けが効いた雑貨、そして革や布で作られた一点ものの小物まで。本当に幅広いんだ。

普段の生活では出会えないようなものばかりだから、ひとつひとつ見ているだけで物語が広がっていく感じがするんだよね。

それに、ただ“買う”だけじゃないのが蒸奇博覧会のブースの面白さ。作家さん本人と直接話せるから、どうやって作ったのかとか、作品に込めたこだわりを聞ける。ものづくりの背景を知ると、同じアイテムでもぐっと特別なものに感じられるんだよ。

しかも、毎回同じ作家さんでも新作を持ってきてくれるから、“今回はどんなものが見られるんだろう”っていう楽しみもあるよね。

そう。だからおなじみなんだけど、同時に新しい発見がある。そのバランスが長く続いている理由のひとつだと思うよ
フォトブース


今年のフォトブースも気になる! 今回はスマホで体験できる仕掛けがいくつもあるんだよね。

そう。まずは入場チケットの裏にあるQRコードからアクセスできる「自動トレカジェネレーター」。これは架空のトレーディングカードゲーム《CLOCKWORK EMPIRE》のキャラクターになりきれるというもの。写真を撮るたびに、役職とレア度、さらにフレーバーテキストまで自動で生成される。組み合わせは数万通り以上あるから、同じ結果はまず出ないんだ。

面白いのは、星5の超レア役職がめったに出ないところだよね。友達と一緒に挑戦して「星3だった!」とか「レア出た!」って盛り上がれるのも楽しい。

さらに会場内のポスターからアクセスできるARフォトブースもある。スマホをかざすと、テレビ頭になったり、シルクハットとゴーグルを装着できたりする。実際の会場と画面の中がリンクして、イベントの世界観に溶け込めるのが魅力だね。

写真を撮るだけじゃなくて、自分自身が蒸奇博覧会の登場人物になれるって感覚がいいよね。これも“体験するイベント”らしさのひとつだと思う。

一日目と二日目で出る役職やフレーバーテキストが変わるから両日楽しんでほしいな、この特別なフレームで撮影できるのはイベントが終わるまでだから目いっぱい楽しんでほしいな。
謎解きチャレンジ


今年の蒸奇博覧会のテーマは「探偵」なんだよね。その雰囲気を楽しめる仕掛けが、会場に入るときから用意されてるって聞いたよ。

そう。入場チケットと一緒に「挑戦状」と書かれたカードが手渡されるんだ。そのカードには謎が仕込まれていて、スマホとQRコードを使って挑戦できる。まさに来場者一人ひとりが探偵になれる仕掛けなんだよ。

しかも謎を解くと、特製の「探偵バッジ」がもらえるんだよね? ただ歩いて楽しむだけじゃなくて、実際に自分が事件を追う探偵になった気分になれるのはすごく面白い。

そうだね。展示や作品を見るだけじゃなく、会場そのものを舞台にして遊べるのは蒸奇博覧会らしい工夫だと思うよ。小さな謎解きだけど、その積み重ねが「物語の一部になった」という体験を生み出してくれるんだ。

謎を解いた人だけが手にできるバッジっていうのもいいよね。お土産以上に「自分が参加して手に入れた証」になる。
ロボット頭とショルヘーノのライブ


今回の蒸奇博覧会では、ロボット頭とショルヘーノがライブをしてくれるんだよね。

そう。ロボット頭といえば、もうおなじみの存在だよね。ショルヘーノも以前、時空喫茶のイベントでもライブをしてくれて、あのときもすごく盛り上がった。今回は蒸奇博のステージに登場してくれる。

ロボット頭のあの独特な見た目と音楽の組み合わせ、忘れられないんだよね。会場の空気を一気に変えて、観客を巻き込んでいく力がある。ショルヘーノのスパニッシュギターも最高だよね。

ロボット頭はスチームパンクの世界観とも相性がいいんだ。人と機械のあいだに立つような存在感があって、イベント全体の雰囲気に新しい色を添えてくれる。スパニッシュギターのショルヘーノもロマをルーツとした音楽でいろいろな世界を感じさせてくれる。

展示やファッションショーとはまた違う楽しみ方ができるし、蒸奇博って本当にいろんな表現が集まる場所なんだなって実感するよね。
まとめ

そういえば今年からの新しいルールで、一眼カメラや本格的な撮影機材での撮影は登録制になったんだよね。

うん。スマホやコンデジでの撮影はこれまで通り自由だけど、大きなカメラを使う場合は事前登録が必要になった。会場の雰囲気を守りながら、安心してみんなが楽しめるようにという工夫だね。

なるほど。写真を撮りたい人も、安心して写りたい人も、どちらにとっても優しい仕組みだと思う。

こうして見ていくと、本当に盛りだくさんだね。メインビジュアルの展示やファッションショー、蓄音機のライブに作家ブース、フォトブースや謎解きまで。しかもロボット頭のライブまであるなんて、1日じゃ遊びきれないくらい。

そうだね。蒸奇博覧会は「見る」だけじゃなく「体験する」イベントだから、毎回新鮮な驚きがある。おなじみの風景に安心しつつも、今年ならではの楽しみ方が必ず待っている。

普段スチームパンクにあまり触れていない人でも、ここに来れば自然と物語の世界に入り込めちゃう。そういう懐の深さも魅力だと思うな。

今年の日本蒸奇博覧会も 開催まであと少し。気になる人はぜひ会場で、その空気を体感してみてほしいな。
日本蒸奇博覧会2025前売りチケット
日本蒸奇博覧会2025公式ページ

文・構成:ツダイサオ(日本スチームパンク協会 理事)
スチームパンクにまつわるデザイン、企画、執筆を通じてものづくりと空想の魅力を発信中
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