【第29回】登戸にスチームパンクな自販機あるよね
- 日本スチームパンク協会

- 9月3日
- 読了時間: 4分

喫茶蒸談へようこそ
今日の話題は、登戸駅
街角にひっそりとたてられたコーヒー豆の自販機
なんだかとってもスチームパンクらしいですよ
登戸駅とは
川崎市多摩区にある登戸駅は、小田急線と南武線が交差するターミナル。新宿や渋谷、横浜へ乗り換えなしで行ける利便性から、東京のベッドタウンとして親しまれてきました。駅周辺には商店街のにぎわいと多摩川の自然が同居し、暮らしやすさと落ち着きを感じられるエリアです。
■この対談に登場するふたり

MaRy(マリィ):日本スチームパンク協会 代表理事。感覚派で、スチームパンクの“ワクワクするところ”を見つけ出すのが得意。気になったことはどんどん質問するスタイルで、対談の聞き手としても案内役としても活躍中。

ツダイサオ:日本スチームパンク協会 理事。物事を論理的に捉えるタイプで、歴史や文化、技術の観点からスチームパンクを語るのが得意。蒸談ではMaRyの投げかけにじっくり応える“解説役”として登場することが多い。
コーヒー豆の自販機が、街角にひっそりとスチームを吐いていたら


ねえツダさん、登戸にあるスチームパンクなコーヒー豆の自販機、覚えてる?

もちろん。あの配管が這ってて、真鍮っぽい外装のやつだよね。ぱっと見、何の機械かわからないくらい造形が凝ってて、完全に“作品”って感じだった。

私、最初はTwitterで見かけたんだよね。あのゴツい見た目に惹かれて、ちょうど藤子・F・不二雄ミュージアムに行くついでがあったから、「じゃあ見に行ってみよう」って。

行った行った。実物、予想以上に存在感あったなあ。

で、ちょっと調べてみたら、あれを作ったのが美術家の亀山裕昭さんだったの。前に「スチームパンクなバーカウンターを作った人」って話題になってたのを見たことがあって、名前だけは覚えてたんだよね。

あの構造、納得だわ。配管の取り回しとか、機能より造形が優先されてる感じが“らしい”んだよね。

で、驚いたのがそのあとよ。なんと、その亀山さんからスチームパンク協会に直接連絡が来たの!

あれはびっくりしたね。Twitterで「この自販機すごいね」って言ってた相手と、後日一緒に仕事することになるとは思わなかった。

某企業のエントランスの内装デザインの仕事だったよね。亀山さんが実際に手を動かして、空間を作っていくのはもう職人って感じで……やっぱり“現場で本物を作れる人”って、空気感が違う。

あの自販機もそうだけど、単なる装飾じゃない「物語のある構造」なんだよね。
「商品が出ない」自販機、むしろありがたがられる説

でもあれ、中身はコーヒー豆の自販機っていうのがまたいいよね。パッと見は何かすごい液体でも出てきそうなのに、出てくるのが豆っていうギャップ。

そこがまた“らしさ”だよね。機械って、見た目で期待させて、実はシンプルなことをしてる。意味のなさに意味を感じちゃうというか。

あの自販機もそうだけど、なんていうか…見てるだけでちょっとワクワクするじゃない?なんかこう、商品より“出てくるまでの雰囲気”がメインなのかも…って気がしちゃうのよね。

で、もし別のスチームパンクな自販機を作るとしたらスチームがぷしゅーって出て、アームがガチャコンって動いて、音楽が鳴って、ランプが回って……で、壊れてるから最終的に商品は出てこないの(笑)。

でもなんかそのうち、「あの蒸気を浴びると仕事運が上がるらしい」とか言い出す人が出てきてさ、浅草寺の煙みたいに列ができちゃって、みんな100円入れて蒸気だけ浴びて帰るの。

それ、めちゃくちゃいいな……! 商品が出てこなくても、みんな満足して帰ってくの。なんかもう、蒸気を浴びる行為そのものが目的になってる感じ、すごく好き。 ……ていうか、俺もちょっと仕事運上げに並んじゃうかも。
「商品が出ない」自販機、むしろありがたがられる説

スチームパンクって、やっぱり「機能」より「雰囲気」なんだよね。意味があるようでない、でもないとも言い切れない。そういう曖昧な機械に、勝手にロマンを感じちゃう。

うん。だからこそ街中でふと見つけた「ちょっと変な機械」にワクワクするし、それが動いてるってだけで想像が広がる。

じゃあ、今度の週末は読売ランド前にも行ってみようよ。あっちにも例の自販機、あるらしいよ?

よし、じゃあ今度は“商売繁盛祈願”で蒸気浴びに行こうか。

それ、もうお守りじゃん(笑)。
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歯車の回る音が聞こえたら、またここでお会いしましょう

文・構成:ツダイサオ(日本スチームパンク協会 理事)
スチームパンクにまつわるデザイン、企画、執筆を通じてものづくりと空想の魅力を発信中
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